5-16
「だって凛ちゃんおもしれーんだもん」
何が壷にはまったのかわからないが、爆笑するアッシュを見て、凛の口元には自然と笑みが浮かんだ。
自分を元気付けようとしてくれた彼の優しさが伝わってくる。
「あ、あの、ありがとう。アッシュ」
アッシュは顔を上げると凛を指差してにこりと微笑む。
「それだよそれ! やっぱり女の子は笑顔が一番似合うな。いつでも相談にのってやるから、暗い顔すんなよ」
「うん」
ロコに嫌われ、ルジェとグレイズ、そしてアッシュにまで酷いことを言ってしまった。
それでもアッシュが私に
「……優しいのは私が女王だから?」
無意識に出てしまった声に、アッシュは一瞬目を見開いて言葉を詰まらせてから答えた。
「男ってのはな、困ってる女の子を見るとほっとけなくなるんだよ」
まるで天使が微笑んだかのように優しく笑うので、凛の鼓動は再び早鐘を打ち始める。
女性どころか男性までもを虜にしてしまうほどの美しさだ。
「そっか」
彼から視線がそらせず、それ以上何も聞けない。
短く答えるのが精一杯であった。
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