5-12
「まだそんなことを言っているのか? お前はアストレーヌ様の娘として生まれた時点で女王になることが定められているんだ! お前みたいな魅力皆無な女が女王の娘だとは認めたくないが、首の王薇が女王だという証拠なんだ。お前の言動一つで何万という同胞が死ぬんだぞ!」
「私にはそんなことどうでもいいの!」
はっとして口元を押さえたが遅かった。
自分が吐いた言葉がいかに非道か考える間もなく、その場にいた者を凍てつかせる。
息を呑むルジェとグレイズ、それにアッシュまでも凛に視線を向けたまま立ち尽くしていた。
「ご、ごめんなさい私……」
「クソッ!」
しどろもどろに謝罪する凛をルジェは睨み付け、荒い足音を立てながら部屋を出ていってしまう。
「「ルジェ!」」
木製の扉が硬い音を立てて勢い良く閉まり、アッシュとグレイズの声が重なった。
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