5-9

「凜さん、あなたには知っておくべきことです。お話しましょう」

「あ、ありがとうございます!」

 グレイズは穏やかに微笑むと、厳かに話し始めた。


「ヴァンパイアには二通りいましてね。一つはヴァンピルと呼ばれる者達です」

「ヴァンピル?」

「ええ。ヴァンパイアの血は流れていますが、力が弱くほとんど人間と変わりません。もう一つはヴァンパイア。ヴァンパイアには至ってはこれが一番多いのですがごく平均的な者と、イェゼンとも呼ばれる者がいます」

「ちなみに俺達はイェゼンさ」

 アッシュが自分自身を指差して微笑んだ。

「イェゼンとは『高貴なる血族』という意味で、始祖のヴァンパイアの血を濃く受け継いでいます」

「えっとつまり?」

「馬鹿向けに答えてやるとヴァンパイアの中でもごく僅かの強い奴らのこと。ちなみに城にいる奴らほとんどこれね」

「馬鹿向けって何よ!」

 確かにわかりやすかったのは事実だが、失礼な奴である。
 頬を膨らませる凛に、グレイズが尚も緊張した面持ちで続けた。

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