5-5
「うるさい、女。お前には関係ないだろ」
「むっ、あるに決まってるでしょ! いい年して馬鹿じゃない?」
冷ややかに見下ろす瞳に負けまいと、精一杯食らいつく。
「まあまあルジェ、そこまでにしなさい」
思わぬ反撃にあって一瞬たじろいた隙をつき、グレイズがルジェをなだめる。
「「ふんっ!」」
二人同時に鼻息荒くそっぽをむいた。
まだまだ言ってやりたいことはあるが、今は我慢することにした。
「ところで凜さん、街であったことを話してくれませんか? 私達にはさっぱりわからないんです。あの部屋にはナイトの血の匂いが充満していた。しかし彼は怪我などしてはいなかった。教えてください、一体あの街で何があったんです?」
凜は上手く説明するにはどこから話せばいいか迷ったが、グレイズがあまりにも真剣な瞳で話すので、全てを包み隠さず話すことを決めたのだった。
[ 123/179 ][*prev] [next#]
[表紙へ]
[しおりを挟む]