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「ううん、違うの信じて。私は」
ロコの言葉に、今まで彼と生活していた日々を思い出す。
本当の弟ができたようで、今まで体験したことのない楽しい日々だった。
そろりと歩み寄ろうとすると、ロコは身を強張らせ、目にいっぱいの涙を浮かべて叫んだ。
「うるさい出て行け! お前らヴァンパイアなど信じた僕が馬鹿だったんだ!」
「違うのロコ、お願い話を聞いて!」
「出て行け! この、この薄汚い化け物が!」
「ロコ……」
呆然と立ちすくむ凛の脳裏に『化け物』という文字が鳴り響いて止まなかった。
†エマリエルドール[完][ 118/179 ][*prev] [next#]
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