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 ルジェをアッシュに任せたナイトは、若干疲れを見せる己の精神を奮いたたせて次の部屋へと向かっていた。
 女王が城に来た翌日の早朝、奴らはよく起きられたものだ。
 アッシュはさすがに女王に遠慮でもしたのだろうか。
 それにしても奴の女好きには困ったものだ。
 知る限りでは、奴には一人の女が定着したことがない。
 しかしそれは俺も同じか、と呟いてからナイトは苦笑した。

 ルジェはちょうどグレイズと一緒に人狼(ワーウルフ)退治に行っていたのが幸いしたのだろう。
 グレイズはというと、奴も寝起きは良くないらしく未だに姿を見せない。
 もう女王は起きているようで、先ほどから慌ただしい様子の侍女達が一礼をしてからナイトの横を通り過ぎていく。
  次第に何故自分がこんなことをしなければならないのか考え始め、いらつきが眉間に皺を刻んだ。

 ナイトはいささか急きこんで扉を開けた。
 蝋燭が幾つも嵌め込まれたシャンデリアに煌々と映し出される紫紺の壁紙には、金の文様が描かれている。
 ナイトが寝台に歩み寄ると、薄紫の上掛けに上品に収まったグレイズは優しい寝息を立てていた。

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