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 そしてもぞもぞと動きだして瞼を瞬(しばた)かせてから、ぱちりと目を開けると、急に上体を起こしてまどろみながら宙を彷徨う自分の眼球の焦点を、ゆっくりとナイトへ合わせて呟く。

「うん、わかった。起きるよ」

 ルジェがこくんと頷いたのを見て、ナイトは安堵からため息をはいた。
 どうやらルジェは何事もなく起きたようである。

「ああ、急げよ。もうすぐ女王の勉強の時間だからな。教育係のお前がいなくては話にならん」

「そうだった! 高貴なる貴族(イェゼン)であるはずの僕としたことが、寝坊するなんて由々しき問題だ!」

 ルジェは強く言うが否や、突然勢い良く寝台に立ち上がった。

「急がなくては……!」

 寝台から飛びおりると壁に立て掛けてあった銀の長剣を手に取り――"寝間着(ローブ)"に差し込んだ。

「――おい、何をやっている? 早く着替えろ」

 ナイトが眉を顰(ひそ)めて怪訝そうに伺うと、

「あっ、そうだった! これじゃなかった」

 そう言って今度は長剣を放り、花の飾ってある花瓶をローブに黙々と差し込みはじめるが、なかなか上手くできないらしく何度も位置を変えて入れ直している。

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