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なんとか殺意を押さえつけ、アッシュを起きるように促した後、ナイトにはまだしなければならないことが残っていた。
それは未だ姿を見せないロゼリオンの二人、ルジェとグレイズを起こすことである。
女王が見つかったと云うのに、女となどいるから起きられないのだ。
呑気(のんき)なものだな、とため息を吐いてからナイトは歩みを早めた。
次はルジェの部屋だ。
奴はとうに五百歳を超えるというのにあらゆる面で全く年上には見えない。
もっともヴァンパイア(俺達)に年齢など関係ないのだが。
部屋に入ると、実にルジェらしい白を基調とした家具に、至る所に薔薇の花や様々な小物が飾られていた。
ルジェらしいのはらしいのだが、この部屋の主人はれっきとした男だと考えるとある意味異様な光景に、ナイトは一瞬たじろいでからつかつかとルジェの寝ているベッドへ近寄った。
「おい、起きろルジェ」
「ううーん。」
「ルジェ、起きろと言っている」
ナイトはルジェの小さな肩を掴んで揺さぶった。
ルジェは眉間に皺(しわ)を寄せて唸(うな)った。
[ 4/12 ]【†BAcK】 【NExT†】
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【ToP】