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「――うーん。もう夜か?」

 ナイトはつかつかと寝台に歩み寄り、上半身裸体をさらして寝ぼけ眼をごしごしと擦りながらようやく身を起こしたアッシュを見下ろした。

「寝ぼけるな。早く起きろ」

 質問には答えずに先ほどと同じことを復唱するナイトに、アッシュは細い視線を送った後にっこりと満面の笑みを湛えると、勢いよく抱きついた……!
 
「おはようセナちゃん!」

 ふふっと満足げに、本来なら柔らかなものがあるはずの胸に顔を埋めて頬をすり寄せる。
 いつもより筋肉質な感触に多少の違和感を覚えながらも、アッシュは構わずがっしりと抱きしめた。
 そのままの姿勢で固まっているナイトには気づかず数秒後。

「きっ、貴様……!」

 アッシュが気づいたときには、額に青筋を浮かべてわなわなと震えるナイトに長剣を投げつけられていた。
 ギンッ、という音がして、長剣はアッシュの頬を若干切り裂き黒壁にざっくりと突き刺さった。

「わりぃ。じょ……冗談だって。冗談、ハハハ」

 青く鋭い光を宿した瞳からナイトの殺気を読み取ったアッシュは、とたんに大粒の冷や汗が全身の汗腺から吹き出たのを感じた。

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