[ 夏祭り・序 ]


駅前のとあるマンション。
その一室――
先程商店街で買い物を済ませてきたカーミラの手には一枚のチラシがあった。

「何を真剣に見てるんだ? セールの予告でも書いてあるのか」
「いや、お店で貰ったんだけど…夏祭りのお知らせみたい」
「見せて見せて」

八郎がカーミラの手からチラシを奪い取る。それは今週末にある夏祭りの告知で、近くにある神社が催すのだが、合わせて商店街でも色々と企画している、という内容だった。

「最後に花火あげるんだって」
「随分派手にやるんだな」
「あ、そうだ」

三人でチラシを覗き込んでるとカーミラが妙案を思いついたようだ。

「リデルたちにも教えてあげようよ。今から会長に言えば皆もこっちに来れるよ」
「いいんじゃない? どうせならこっちでいつも遊んでくれる人たちも誘ってさ」
「そんなに誘うのか。賑やかすぎると思うが…」

フェニが渋ったが、二人によってあっさり却下される。

「賑やかで当たり前でしょ」
「お祭りだもの! 浴衣着てみたかったんだよね」
「私は綿菓子食べたいな〜おっきくてフワフワした、雲みたいな奴」
まだ先の夏祭りに今から思いを馳せる二人はやんややんやとはしゃいでいる。

「七夕をやったばかりだというのに…」

やれやれと溜め息を溢しながら、夏祭りの為の資金を何処から捻り出すかに頭をシフトさせる。
家計簿を引っ張り出し数字とにらめっこするフェニだった。

(2011.7.12)

× | |
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -