プロローグ

高校生になって初めての一年が終わる頃。
僕は地獄みたいな日々を送っていた。


「アシタバァ、今日もよかったぜ、またよろしくな!」


耳障りな笑い声と共に数人のクラスメイトたちが男子トイレから出ていく。
僕は一番奥の個室に裸で取り残されていた。

“旧北校舎の4階のトイレ”
ここは一部の生徒が使う遊び場だ。
先生に隠れて煙草を吸ったり、時々女の子を連れ込んだりするのに使ってる。
僕はそんなことしてる人になんて近寄りたくなかったし、関わりもなかった。

でも2学期の途中から、僕は彼らのイジメの標的になってしまった。
どうして、とか、何がきっかけかは分からない。
ただ同級生に度々犯される生活が何ヵ月も続いている。


「…かえ、らなきゃ……」


下校時刻を知らせる放送が流れてきて、ノロノロと立ち上がった。
辺りに散らばる服をかき集める。
惨めさや悔しいさが溢れそうになるのを堪えて、一人帰る準備を整える。

誰かに助けて欲しかった。
でもこんなこと誰にも言えなくて。
また僕は黙って家路に着いた。


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