煉瓦や石を炎に投げ入れ消火を図るもそれは意味を成さない。

酸素が無くなり始めたのか呼吸が苦しい。熱くなる鉄骨にも焦りを覚える。
ベルも、動ける手足を必死に動かして脱出を試みるが、後もう少しの所で一際大きな鉄材が複雑に挟み込んでおり抜け出せなかった。

「もう少しだから、頑張って・・・・!!」

渾身の力を込めて鉄材を持ち上げるも、人間の子供にどうにか出来る重さではない。
こんな事態に貶めた張本人逹はそんな様子を上で嘲りながら鑑賞していた。

「もういい!さっさと!」
「見捨てるもんか!友達を・・・・!」


友達を・・・・。ベルの中で僅かに電流が流れた。
死にたくない。生まれて始めて激しい感情が心の底から沸き上がった。だがその思いを否定するかの如く炎が、熱が、二人に襲い掛かって来る。


「やべぇ役人だ!!」

「逃げるぞ!」

共に死を感じたその時、背中の方からピストルの発砲音が聞こえた。
同時に上の何人かが落ちてきて、腕やら肩やらを抱えてうずくまる。運悪く撃たれたようだ。

「お前達!何やってる!!」

役人達の怒号を皮切りに男達は散り散りに逃げていった、地にうずくまる者を残して。




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