ハァ、ハァ、ハァ・・・

ゼェ、ゼェ、ゼェ・・・

肩で息を切らす二人の目の前に構える一軒の小汚い食堂。扉の前に掛かった看板が「定休日」の文字を虚しく主張していた。

「今日、休みなんだ・・・」

呟くカレルの隣からゾワゾワと絡み付く明らかに自分に向けられたであろう殺気に背筋が凍った。
「え〜と・・・ごめんね?」

「か・く・ご・は・で・き・て・ン・だ・ろ・う・な〜!!」


軍が定期的に行う風起こしから生じた冷たくも湿気を含んだ風に慣れていないのか見じろぐカレル

「美味しいかい?この店も悪くないと思うんだけど」

「お前ェが言うな」

「そんな顔で食べたら不味くなっちゃうよ?」

「生まれつきだ」

結果から言うと食事にはありつけた。

2、3本向こうの通りで定期的に開く露店街を銀髪が覚えていたのだ。

「にしてもこれ、美味しいね!君、流石だよ」

「選んだのはお前ェだろが」

まったく・・・とぶつくさ言いながらも初めて奢られた食物をもそもそ食べる。

「・・・・ク」

「え?」

暫くの沈黙の後に突拍子も無く発せられた単語を思わず聞き返した。



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