「・・・・・・・・付いて来ンなっての。」

「あっ、歩く方向が同じなだけだよっ!」

これで何度目だろうか

何度威嚇しても相変わらず付いて来る金髪少年にイライラする銀髪。

無理はない。方向が同じだけなら歩みの鈍い銀髪を当に追い越せている筈なのに、彼はあからさまに銀髪に歩調を合わせて歩いているのだから。

心配されている?

同情されている?

それとも機会を窺っている?

こちらを心配そうな目で窺う少年の視線を後ろに感じながら銀髪の心内に今までとは違う類の屈辱感が込み上げてきた。

ウゼェ・・・

狭い路地の角を曲がった時、痺れを切らした銀髪は問い掛けた

「お前ェはどうやってオレをバカにすンだ?」

「へっ?」

脈絡の無い質問に間の抜けた返答が帰る。

「どいつもこいつも、はぐれ者ってだけで俺をバカにする。お前ェもどうせそのクチだろ?お前らは知恵だけはよく働く・・・・」
「一緒にするな!!!」

スラムに響く激しくも凛とした怒声に両者の立場が逆転した。

怒声を発した少年の瞳は先程までのそれとはうって変わって鋭い光を帯びていた。その眼光に圧倒される銀髪。

淀み無い真っ直ぐな視線を受けた銀髪は気が付くと今まで感じた事の無いある種の恐れを抱いていたが、ハッ、と我に返り、虚勢をはって少年をにらみ返した。

見た目に似合わない銀髪がしたあまりの幼稚な行為に少年は思わずぷっ、と吹き出す。

「な、何がおかしい!!?」

本気で怒る銀髪だが、既に先程の鋭さはない。
少年は彼に急に親しみを感じた。



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