ふりむいてはいけない 意識した途端、背筋に悪寒がはしった。 ひんやりとした冷気が全身を包み、冷や汗が吹き出す。 …後ろに誰かが、いる。 「(気付かなきゃ良かった…!!)」 そう思っても、もう後の祭り。 「イゼル」 名前を、呼ばれた。 バッと後ろを振り向く。 そこには… 「(…誰も、いない…)」 カラカラに渇いた口内では上手く声が出せない。ハッハッと浅い呼吸の音だけが異様に耳につく。 「イゼル」 背後にまた冷気を感じる。 「イゼル」 むき出しの左肩にポンポンと手が置かれた。 「ぅあ゙ッ!」 氷のように冷たい手が、イゼルの熱を奪う。ぞくりと粟立つ肩、全身の毛が逆立つ感覚。 「 イ ゼ ル 」 耳元で、声がした。 そこからのイゼルの行動は素早かった。 肩に触れている方の腕をガッと掴んで引き剥がすと、そのままくるりと振り向きざまに叫ぶ。 「させねーからな!! 雪呼!!」 「…なによ、その反応つまんなぁあい」 「つまんなぁあーい、じゃねーよ!なんだよこの指は!!」 「え、人指し指ですけど何か?…まさか、わかんないの…!?」 そこまで頭がやられてたなんて…!!おーまいがッ!!ていうか似てない! 大袈裟にショックを受けた顔をする雪呼に、頬の筋肉がひきつるのを感じた。誰だってひきつる。 「そーいうこと言ってんじゃねーよ!!」 雪呼の腕を反動をつけてブンッと放す。 こいつと同じボックスに入ってから何度も繰り返し行われたやりとりだ…そろそろ覚えなきゃ馬鹿だ。 「これはお前アレだろ?そのまま振り向いてたら『ほっぺぷにっ☆』てそういうことだろ?…絶対させねーからな!」 *** 雪「だってイゼルのほっぺたプニプニなんだモン!触りたくなっちゃうよ」 イゼル:パールの二軍、フローゼル♂、ほっぺたがプニプニしてるらしい。 雪呼:セッコと読む、パールの三軍、ユキメノコだし周りがひんやりする。 ほっぺプニはやるのは楽しいけどやられるのは嫌だと思うんだよね(・ω・´)冒頭部分はホラーっぽさが出てたら良いんだけど、どうなんだろう。 |