海翔と花凛と焔良がぐだぐだ 『今日の天気は曇りです。今夜から早朝にかけて冷え込みがピークに達するでしょう。』 曇天特有の薄暗さに窓を叩く雨の音…多くの人間は気が滅入… 「雨ー!!」 気が滅… 「それはすなわちー!!」 気が… 「俺の時代なんじゃあああ!!」 「うるっさいわねー!!あたしがせっかく詩的な感じにしっとり始めてんのに騒ぐんじゃないわよ!!海翔のKはKYのKなの!?」 「だってよー花凛、この雨じゃ先に進めねーし暇だろ?それに俺…」 「?何よ」 「雨の日ってすごくテンション上がるんだよね」 「知らねーわよそんなこたぁああ!!…ただでさえ雨で頭痛いってのに叫ばすな!!」 わはははすまん!と語尾に星でも付いてんじゃないかってくらい明るく謝る海翔。お前謝る気ゼロか。 これ以上コイツのペースに巻き込まれちゃダメだと無理やり怒りを押し込める。最近イライラしやすいな…気を付けねば。ニボシあったかな?探してこよう。今日のおやつはニボシで決定。 立ち上がった花凛は廊下から誰かがペタペタ歩いて来るのに気が付いた。誰だろう。 ガチャッ 「まとまらねぇえーー!!」 『何いきなり!?』 ドアを開けたらそこには頭を抑えてこの世の終わりみたいな顔をした焔良がいました。開けた瞬間に叫ぶもんだから海翔とハモっちゃった。嬉しくない。 「何がまとまらないって?ていうかそこどいてくれる?」 焔良が立っているのはドアのど真ん中。なかなかに体格が良いから通りにくい。 「…どかねぇ」 ハイライトの消えた瞳がとても怖いとだけ言っておこう。外を眺めてた海翔もこっちを気にしてる様子。焔良がこんな調子なのは珍しいから、トレーナーとして心配してみる。 「ちょっと?せめて最初の質問には答えろ?」 心配、している。これでも。 「あれ?そういや焔良…お前…」 海翔が真剣な表情で焔良を見る。さすが親友と豪語するだけあって何かに気が付いたらしい。 「今日はいつもより髪がもっさりしてるな!」 …………What? 「気付いて、くれるか」 「親友、だからな」 なんか感動っぽい雰囲気になってるけどなんか違うよね。意味が分からない。その微妙な間にさえもイライラする。意味が分からない。 落ち着いて私。ここでキレたら負けだ。 「…湿気で頭がバーン。つまり、そういうことなの?」 「そういうことだ…。くっ、お天気お姉さんの言うことを真に受けた俺がバカだった…!もう絶対信じない、朝の星占いも信じない…!」 「…そう…」 くっ、じゃねーよ…なんかイライラしてたのがバカらしくなってきたわ。 髪長いと大変だな。お前は短いもんな。坊主にしちゃえば?寒いからイヤだ。 ドアと窓際から私を挟んで会話する二人。みなさん覚えているだろうか。焔良が立っているのはど真ん中。 「…ところで早くどいてくれない?ティータイムの準備がしたいの」 「おぉ、悪いな…手伝うか?」 「じゃあこのタマゴたちよろしく」 「重っ!…って4つも!?海翔お前もこれ手伝え」 「…窓の外眺めるので忙しいから」 「世間一般から見てそれは暇な部類だな」 睨み合い始めた二人を後目にリビングに向かう。 今日は三人分用意すれば良いから楽でいいわね。 *** オチなんて無い。 in花凛家所有の別荘 週1で使用人が掃除に来る。 残りの手持ち4体はタマゴ育成のためボックス入り中。 花凛:イライラしだすと口が悪くなる。 海翔:水が好き。 焔良:湿気は天敵。 |