愛と万能調味料 よく晴れた昼下がり、料理をグツグツ煮込む音に空腹を刺激するいい匂い…腹減った… 料理を手伝うわけでもなく手持ち無沙汰な俺は、調味料の整理をしつつ手慣れた作業をテキパキ進める李桜の後ろ姿を見つめる。 (なんか、こういうのって…) 幸せだな 「みんなご飯出来たよー」 いつの間にか出来上がっていたらしい。ニコニコ笑ってみんなを呼ぶ李桜に、真っ先に来たのは食べるのが大好きな燿。 「りおー、俺もう腹ぺこなんだけど食べてもいいか?」 「みんなが揃ったら、ね?」 腹ぺこと言うだけあって燿の視線は料理にくぎ付けだ。 「おい燿、食器並べるから手伝え」 「任せろ緋炎」 準備を粗方終えたときに、他の四人もやって来た。 「んー、いいにおーい!」 「シチューのおかわり可?」 「ふぁ〜…ねむ、おなかすいた…」 「あんた朝いないと思ってたら…シャキッとしなさいシャキッと」 上から順に夜蘭、食満、舛花、吾妻だ。出てくるタイミングが…まさか 「お前ら準備終わったの見計らって来ただろ?」 「少しは手伝えよなー!」 呆れ顔の俺と燿と、いい笑顔の三人。舛花だけは首を傾げている。 と、そこに李桜が来た。 「もう、料理が冷めちゃうでしょ?早く席に着いてね」 鶴の一声改め李桜の一声で大人しく着席する。さすがだな。 「じゃあみんな揃ったことだし、」 『いただきます』 「…美味しい!李桜の料理っていつも美味しいよね、なんか特殊な調味料でも使ってるの?」 感激してますと顔に書いてある夜蘭の疑問に答える李桜。 「特殊な調味料っていうか…美味しさの秘訣は『みんなへの愛』かな」 えへんと胸を張る李桜。顔はまさしく「ドヤ」とでも言いたげだ。 「あ、そういうの要らないんでぇ」 「なによ、信じてないわね?」 ケラケラ笑いあう李桜と夜蘭。視界の端で食満がおかわりに乗り出している。 「あ、食満!少し残しといてね、美咲と琴におすそ分けするから」 「了解。そっか、だからこんな厨房にありそうな鍋なんだな!妙にでかいと思ったよ」 「…そういうこと!」 みんなは気づかないだろう。李桜の返答の微妙な間の意味を。 李桜はただ単に野菜を切りすぎて、しょうがなくでかい鍋を使ったという事実に。 *** 李桜「デザートもあるのよ!」 舛花「あ、悪いんだけど…僕もうお腹いっぱいで…」 紗池ちゃんちの琴くん名前だけ友情出演└(^O^)┘ |