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「私だって、立夏くんを信じてたから。私こそありがとう。それと、おかえりなさい」
一番言いたい言葉はやっぱりシンプルで。
笑顔で言おうとずっと決めていた。
「っ、反則だよ!」
「え、なにが?」
「二年間離れていただけなのに、なまえちゃん凄く大人っぽくなって………」
女の子は成長が早いと聞いたことがあった。
だから、二年間で彼女はきっと凄い綺麗になって、自分が知らない彼女だったらどうしようと不安だった。
二年もほったらかした状態で、愛想をつかされていたら等と会う直前まで考えていたのだ。
「やっぱり、なまえちゃんは凄い綺麗になってた。絶対に大学でモテてるでしょー?」
「モテてるって………そんなこと絶対にないよ」
「なまえちゃんは自分の魅力に気付いてない!世界で一番可愛いもん」
相変わらずストレートな物言いにさすがに照れてしまう。
綺麗になったと言ってもらえて本当は嬉しいが、恥ずかしくてそれを口に出すことは出来なかった。
「ねぇ、ずっとやりたかったことがあるんだ」
「うん?」
「もう一度、君に告白させて」
初めて出会った時にきっと君に恋をしていた。
あの時の気持ちは今でも変わらない。
生まれ変わった自分で、もう一度想いを伝えようと決めていた。
「なまえちゃん。好きです、僕と付き合ってください。君の笑顔をずっと守らせて」
立夏はそっとなまえの手を取り、そこから立夏の手が微かに震えていることが分かった。
なまえは小さく笑って、笑顔で応えた。
「私も、立夏くんが大好き。これからもよろしくお願いします」
「ほ、本当?」
「もちろん!」
なまえの返事に立夏は心底安堵し、全身に入っていた力を思い切り抜いた。
「よかったー、断られたらどうしようかと思った………」
「断るなんて、そんな……」
「本当に緊張したんだ、でも、よかった。本当に」
立夏は堪らずなまえを抱き締め、ありがとうとそっと囁いた。
「なまえちゃんを放すつもりないからね!」
「うん、二人でいっぱい思い出作ろうね」
「二人じゃないよ、三人!僕たちの子供も」
「子供!?」
聞きなれない言葉に思わず驚くが、立夏は子供は誰似だろうなどと嬉しそうに話していた。
まだ先の見えない未来がこんなに明るく楽しくて幸せなものだと、
きっと君に出会えなかったら分からなかっただろう。
ありがとう、君に出会えたから今、こんなに幸せなんだ。
そんな想いを込めて、立夏はなまえに唇を落とした。
完
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