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二人がやって来たのは聖域から少し離れた場所にある丘で、
ここには草花がたくさん咲いていて、
静かな空気に包まれて二人以外には誰もいなかった。



なまえは先ほどから熱心に作業をしていて、
なにをしているのか気になったアルバフィカは彼女に問い掛けた。



「君はさっきからなにを一生懸命作っているんだ?」

「それは……内緒よ」



手元を見ると色とりどりの花で作られた花輪で、
人の腕にすっぽり入るサイズだった。



「それはアテナ様に?」

「アテナ様、うーん、今はまだそういうことにしておくわ」



なまえの返答にいささかすっきりせず、
間違えたのか確認を取ろうとしたが、
当のなまえは作業に戻っていて聞くのは止めようと考えた。



それから互いに言葉を発することなく、ただ穏やかな時間が過ぎていった。
























「できた!」



どのくらい時間が過ぎたか分からない頃、
満足げに言ったなまえの声に我に返り、
目の前にはこれ以上ないというほど笑顔の彼女が映っていた。



「アルバフィカ、腕出して?」

「なにを」

「いいから!」



いきなり腕を出せと言われてもすぐには出せず、
少しだけ躊躇しているとなまえが呟いた。



「大丈夫、怖くないから……」



優しい声色は不思議と気持ちが落ち着き、
先ほどまで躊躇っていた気持ちは薄れていく。



不安げに差し出した腕にふわりとなにかが包まれて、
腕には先ほどからなまえが作っていた花輪があった。



「これ、は……」

「アテナ様の腕にある花輪がきれいで、いつも作りたいなぁと思ってたけど、見映えはちょっとあれだけど一応お守りのつもり!」

「だけど…」

「アルバフィカが迷惑じゃなければ、貰って?というより、アテナ様じゃなくてあなたに最初から渡すつもりだったのよ?」



躊躇っているアルバフィカに気付いたなまえは少しだけ困った顔をし、
迷惑だったよねと消えそうな声で呟いた。







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