5
「ん、メール?」
家へ帰ると、テーブルに置いたままの自分の携帯電話が光っていた。
徐に広げると、メールの相手は立夏からだ。
「今日のお迎えは僕が行くから、なまえちゃんは家に居てね。絶対だよ………はい?」
珍しい内容のメールに、さすがのなまえも驚いた。
メールの内容から察するに、今日は早く帰ってくるのだろうか。
まあ、たまには彼に二人のお迎えを任せようと思い、わかったという返事を送った。
「なに、企んでいるんだろ………」
学生時代から、立夏にイタズラなど称して色々やられてきたことを思い出す。
それに、彼の血を立派に継ぐ娘たちも一緒。一体なにがあるのか不安になった。
それでも、立夏は本当になまえが嫌がることはやらない。
自分も最後は立夏を笑って許してしまう。
今回も不安だが、そんなに悪いようなことはしないだろう。
そう納得し、片付けに取り掛かった。
「………ん、……ちゃん、」
「う………ん」
誰かが遠くから呼ぶ声が聞こえる、
真っ暗な闇の底から、引き戻すかのように徐々に意識がそちらに向かう。
「ママー!!」
「きゃっ!」
耳の近くで大きな声で呼ばれ、慌てて飛び起きた。
目を開けるとソファーの前に冬華に冬哉、それに立夏がいたのだ。
「ママお寝坊さんだね、冬華、冬哉」
「うっ………うたた寝しちゃって、多分そのまま寝ちゃった…」
時計を見ると夕方過ぎていて、確か昼頃に家事が一段落すると急に睡魔に襲われてしまった。
多分、そのままソファーに座って寝てしまったのだろう。
「ごめんなさい!今から買い物行ってくるね」
「ちょっと待って、買い物はいいよ」
「え、買い物しなきゃご飯食べれないよ、」
「ふふーん、じゃあ、二人共。準備はいい?」
イタズラする時のような笑みを立夏は浮かべ、冬華と冬哉に合図を送った。
大人しい冬哉も、笑顔いっぱいになりながらなまえを見つめた。
「じゃーん!」
立夏は後ろから何かを取り出し、なまえの目の前に差し出した。
それに続き、冬華と冬哉も後ろから小さなものを取り出した。
.
[back]