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「最初はブレードチルドレンとか分かんなくて、
勝手にここまで来ちゃったけど、後悔してないよ」


あの時、火澄に向けて言った決意は嘘ではない。
少しだけ恐怖を感じたが、彼がこうして前を見据えて、


絶望の中にあるほんの少しの光の中を進もうとしている。


だったら、自分に出来ることは一つだけ。


「私ね、どんなに絶望にあっても光を見付けて、一人で這い上がって強くなった歩が好きなの」

「なまえ……」


理緒の時も、カノンの時も彼は絶望の淵に立たされて、それでも光を見付けて這い上がってきた。


側で見てきた、そんな彼にいつしか惹かれていたんだと今さら気付いてしまう。


だから、


「この先は、俺に言わせてくれ」

「うん……」

「俺にはなまえが必要だって気付いた、俺の側でずっと笑っていて欲しい」


闇の中で見えた光は君だった。


どうしようもない暗闇でさ迷っても、
君の元へ帰ることが心の道標になっている。


君は気付いているだろうか、



君は無力なんだと前に嘆いたけど、
ここまで来れたのは、君が信じて待っていてくれたから。


それは誰にも出来ない、君だけの力で……


「必ず、帰って来るから。俺の、自分自身の力で……」

ぎゅっと歩はなまえを抱き締め、それに力一杯応えた。


こんなにも愛しくて、離してしまうのが惜しいくらい、ずっと抱き締めていたい。


ずっと憧れて、欲しかった温もりは確かにここにあった……


「勝ってね、歩。私は待ってるから……」

「ありがとう、それだけで救われた気持ちになる」

「大袈裟だよ、私は…」

「いや、なまえは俺を沢山救ってくれた。どんなに絶望の壁が立ちはだかっても、待っていてくれた。信じてくれた、それが救いになったんだ……」


だから君が待つ場所に帰ろうと、生きて、君が笑ってくれる場所が自分の在るべき場所だから。


君とならこの先も一緒に光に進める、


「いってくる、そろそろ時間だ……」

「いってらっしゃい、歩の夕飯楽しみにしてるからね!」

「分かった、何がいいか考えとくよ」


当たり前のような日常の会話さえ幸せに感じる。


くすぐったいような、照れ臭いような、
真っ直ぐと君の言葉が胸に花を咲かす。


君の笑顔を見る為に、もう迷わない……


全てが終わったら、君をこの腕いっぱいに抱き締めるから。


待っていて……





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