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(まただ………)
なまえは放課後、学校からマンションまでの道のりを歩きながら周囲の不審な気配を感じ取った。
それに気付くと少し早歩きでその場を後にする。
しかし、自分と同じく早歩きになったその気配を感じた。
(なんなの、もう………)
最終的にそれを振り払うように走り出す。
無我夢中になって走っているといつの間にかマンションに着いていた。
到着した頃には呼吸が苦しかったが、呼吸を整えつつ辺りを見渡した。
「いな………い、」
気配もないことから、完全に撒くことが出来たことを確認してからマンションへ入った。
「おかえりなさいませ、なまえさま。」
「ただいま、双熾さん。」
出迎えてくれたのはSSの双熾で、彼は綺麗にお辞儀をするとなまえのカバンを手に持った。
「今日もなまえさまがご無事に戻られて本当に安心しました。」
「大袈裟ですよ、たまには歩いて帰るのもいいかなって思って。」
普段は双熾が車で迎えに来てくれることが多いが、ここ数日は一人で歩いて帰ることにしている。
周りの景色を見ながら帰るのも悪くないと思い、
今週に入ってから双熾に相談をしたのだ。
(説得するの大変だったけど。)
この話を聞いた双熾はなまえの手を取り、涙ぐみながら言った。
『僕が不要ということですか?あなたとの唯一の時間。それも神は引き裂こうというのなら………どうぞ僕を処分なさってください!』
あまりの発言に唖然としたが、なんとか説得をしてこうして迎えは車に頼らず歩いて帰ることにしたのだ。
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