雪うさぎ
こちらはNL作品になります。
一応、卍里とカルタです!






























窓から見えた景色は一枚の絵を切り抜いてはめ込まれたような景色だ。


自然と心が弾む。


「見ろよ、カルタ!雪!」


卍里は窓に近付き、テレビをぼんやりと眺めるカルタに言った。


カルタは立ち上がり、ゆっくりと窓に近寄った。


「真っ白………」

「すげぇ!テンション上がるよな、外に出ようぜ!」


外の銀世界に夢中になった卍里はカルタの手を引き、屋上へ行くことにした。


防寒具をしっかり着用し、二人は屋上へ向かった。
途中で残夏に会って、一応屋上へ行くことをきちんと告げたのだ。






「うおー!!すげぇ!やっぱ真っ白だな!」

「うん、冷たいね。」


屋上一面に広がる雪は、まだ誰にも踏まれておらず、ふわふわとして柔らかい感触だ。


「よし!」


卍里はなにか思い立ったように走り出した。


念の為に傘を持ってきたが、卍里はそれをその辺へ投げ捨てて真新しく降り積もった雪へ飛び込んだのだ。


「あ、渡狸、埋まった。」


雪へ飛び込んだまま、少しだけ時間が流れた。


カルタは卍里が突っ込んでいった場所をじっと見つめた。


「うおー!気持ち良いー!!」


ひよっこりと顔を上げた卍里だったが、体中雪だらけだった。


「気持ち良いぜ!カルタも…………って、濡れるよな……」

「渡狸?」

「おい、カルタ!ちょっとそこで待ってろ、」


突然なにかを考え始めたかと思えば、
卍里は咄嗟にどこかへ行ってしまった。


そして暫くするとカルタの方へ走って戻ってきたのだ。


「カルタ、手、出して。」

「こう?」


卍里に言われるままとりあえず手を差し出すと、
急に冷たいものが手のひらに乗っかった。


それに目を向けると同時に卍里が口を開いた。


「うさぎ、雪で作ったんだ。雪合戦とかやりたいけど、当たったら痛いしな。これなら、痛くないだろ?」

「可愛い、美味しそう。」

「おいし………えっ!?食えねぇよ!」


カルタの相変わらずな発言に目を見開いたが、
カルタはうさぎの形をした雪を嬉しそうに見つめていた。


「ありがとう、渡狸。」

「お、おう!」

「雪合戦やりたい、ちよちゃん達誘って……」

「え!?やるのか?」

「皆とこの景色見たらきっともっと楽しいよ、」


カルタは小さく笑いながらそう言った、


二人で見る景色も悪くない、でも、急に皆で見たくなったのだ。


それに、自分がいたら彼がやりたいことが出来ない。
残夏や蜻蛉がいれば雪合戦でもやれるだろう、


「雪合戦、雪合戦、」

「雪合戦もいいけど、お前と一緒に………」

「私と?」

「な、な、な、な、なんでもねぇ!!」


急に熱くなった顔をカルタから反らし、
自分の想いに少しだけ恥ずかしくなった。


「じゃあ、みんなを呼びに行こう?」

「お、おう!」


本当は君と一緒にこの景色を焼き付けようと思った。


でも、それはまだ少し早いのかもしれなかった。




















「うわー、渡狸撃沈☆」

「ふん、君も覗き見とは趣味が悪いな。」

「あーん、カルタちゃんが雪食べてる………メニアック!」


エレベーターホールで一部始終見ていた妖館のメンバー。


残夏に面白いからと言われて来てみれば、この状況だった。


「若いねー、青春だな。」

「雪とは冷たいではないか!さてはSだな!」

「渡狸さんがこちらに向かって来ますよ、夏目さん。」

「さーて、じゃあ行こうか☆カルタちゃんは気付いてるのに、渡狸の驚く顔が見たいね。」


その後、メゾン・ド・章樫の屋上から叫び声やら笑い声が広がったのはこの後すぐのことだった。



















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