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夏目がどこまで視えているか、こちらからは分からないのでとりあえず最初から説明することにした。












「大方、事情はわかったけど、それってストーカーだよね?」

「す、ストーカー!?」

「そうそう、誰かに恨まれてなのか、ちょっとした愛情表現なのかまでは僕には分からないけどね☆」

「愛情表現………恨み……」


ここに引っ越して間もない頃、誘拐犯につけられて連れ去られたことを思い出す。


またそういった類いのものかと思った。


「ここまで来ても手を出さないってことは、タイミングを見計らっているのか、本当に変態のどちらかだろうね。」

「変態って………」

「なまえちゃんって自分のこと分かってる?」


夏目の質問の意図が分からず、彼に視線を向ける。


「君みたいな子は狙われやすいだろうね、なまえちゃんは容姿が普通の子より良いからねー」

「は?」

「そりゃ、変な人にストーカーされても納得だね☆」


夏目の言葉に頭が痛くなったような気がする。
突然なにを言い出すかと思えば。


少し睨むと夏目はごめん、と悪びれる様子もなく謝罪の言葉をつむいだ。


「夏目さんに相談したのが間違いでした。」

「そーんなこと言わないで☆君と僕の仲じゃない?それに、ちゃんと作戦はあるよ!」

「作戦?」


夏目の方を振り向くと、彼はにっこりと笑った。


「その名も、」


夏目はどこからか紙芝居を取りだし、なまえの目の前に差し出した。


表にはうさぎの絵が描かれており、最早どこから突っ込めばいいのか分からない。


「じゃーん!『ストーカー撃退☆大作戦』どう?」

「そのままですね、」

「えー、結構いいネーミングだと思うけどなー」


頬を膨らます夏目に対して、突っ込んだりするのはもう止めようと固く誓った。


「対策を練ってくれたのはありがたいですけど………」

「言ったでしょ、悩める女の子の味方だって☆」


ふざけているようだが、分かりにくい優しさが彼にはあると知ったのは最近。


「じゃあ、作戦を早速説明するよー」

「よろしくお願いします、」


今はその優しさに少しだけ甘えてみようと思う。


この瞬間まで本気でそう思っていた。









続く
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