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「それは、秘密。私はただなまえちゃんを殺せればなんでもいいの………」

「……………」


ただ静かに、


静かに妹の言葉にゆっくりと耳を傾ける。


家族に愛されていないとずっとずっと思っていた。


妹が人間だから、ずっと愛情を一身に受けて大事に育てられたものだと妬んだこともあって。


だけど、彼女も苦しんでいた。


歪んでいても、彼女にとって愛情を注がれているという風に見えていた。


「私には何もない、両親も親族も、双熾さんも………」

「…………」

「ここの人達も、なまえちゃんと同じ先祖返りだから。だからなまえちゃんはキラキラ輝いて」






――私が、先祖返りだったら、みんな愛してくれた?







耳にはしっかりと彼女の気持ちが届いている。


過去になにが起きたとか、そんなことはどうでもよかった。


私に出来ることは、ただ……


























気付いた時には既に遅かった。


彼女が来てから、今までより気を付けてきたはずだったのに。


あのような悲劇が二度と繰り返さないように、大切な人を守り抜くと誓った。


あの時、側にいたら。


いや、出会わなければよかったと何度も後悔した。


彼女が怪我を負って、目を覚ました時に自分と出会ったことを忘れていると聞かされた時、正直ホッとした。


自分の存在が彼女を立場的に苦しめるなら、二度と会わない方がよかった。


でも、毎日一緒に過ごしていくうちにあの時の気持ちが溢れだす。


想うことが許されるなら、ずっと過去は黙ったままで、彼女が悲しむことがないように守りたい。


「なまえさま………」


きっと、あの人は真実を話している。


過去に起こったことを、


顔も同じで、声も似ている。


代わりでもいいと言われたことがあった。


だけど、彼女以外に愛せる女性は存在しない。


誰でも良いわけじゃない、


彼女を心から愛しているから……


「僕は、あなたに救われたんですよ……」


誰も聞いていないのに、不思議とそんな言葉を紡いでいた。










どうか、彼女を二度と傷付けないで欲しい………


僕は心から願った。





続く



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