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ゆっくりとドアが開く。


一応、警戒をしていつでも術が使えるように準備をしていた。


「…………?」


ドアが開くと、そこには見知らぬ少女がいた。


一瞬、彼女が誰だか分からなかったが、なまえは次の瞬間には目を見開いて少女を仰視した。


「わ、私………?」


そこには自分に似た、いや自分にそっくりの少女だ。


「あなたは………」

「なまえ、ちゃん?」


少女はゆっくりとした口調で名前を呼ぶ。


なまえは何かに引かれるように口を開いた。


「あなたは、唯………」

「そう、私はあなた。あなたは私。私たちは二人で一つだった……」


以前、使用人たちが噂をしていたことを思い出す。


なまえには双子の妹がいる、先祖返りのなまえは生まれてから直ぐに親から離れて今の鳥籠で過ごしている。


妹は普通の人間として暮らしていたはず。


生まれてから一度も会ったことがない妹、目の前の少女が双子の妹だということを完全に信じることが出来ない。


だが、不思議と自分の頭の中では彼女が実の妹だと告げている。


「ねぇ、外に行かない?」

「え…………」

「私、なまえちゃんに雪を見せたいの。大丈夫、誰もいないよ」


唯が言っている意味がよく分からない、彼女が差し出した手を取ることも出来なかった。


しかし、唯はそんななまえの反応を気にせず、手を引いて歩き出した。


「え、ちょっと………ダメだよ。勝手に……」

「大丈夫、誰も見てない。それに外は気持ちいいよ、見たくない?」

その言葉になまえの気持ちは大いに揺れた。


冷静に考えると、今から初めて自分から外の世界へ行くことになる。


幼なじみの連勝、家庭教師だった双熾から聞かされた外の世界へ行ける。


「ね、誰もいないでしょ」

「うん………」


たくさんいるはずの使用人はいない、屋敷は冷たい空気と静寂に満ちている。


寒い、


そう感じた。


今は冬だから、外の世界は今まで体験したことない寒さが容赦なく襲ってきた。


家の人間が誰もいないのはおかしいと分かっていた。


それでも、外へ出られるという喜びが大きく、他のものに目を向ける余裕がなかった。


双熾との約束より、好奇心が先に出てしまった。


空の下を歩いてみたい。


ただ、その気持ちでいっぱいだった。









続く
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