2





夢を見た。


うろ覚えで不鮮明な部分が多かった。


だけど、夢の中の私は無表情。


笑顔も何もない、心さえも死んでしまった。



そんな私に小さな光が見える。


暖かくて、太陽の光のようにポカポカ包み込むような、



―――なまえ、さま……




この暖かさは、あの人と似ている気がした………
























「ん………」


目が覚めると辺りは橙色の光が射し込まれ、優しい色が部屋を包む。


上半身を起こすと、朝より身体が軽い感触があった。


時計に目を向けると、既に夕方の時刻を指している。


「お腹、空いちゃった……下でなにかもらって薬飲まないと」


幸い、歩けるくらいまで回復していて、カーディガンを羽織って下に行く準備をした。


出る間際、部屋のチャイムが鳴り、双熾かと思いそのまま開けた。


「なまえちゃん、大丈夫?」

「唯………?」

「下でおかゆ貰ったの、食べれるかなって思って」


扉の向こうは双熾ではなく、妹の唯がいた。


唯の手にはお粥が入った土鍋や茶碗がトレーに乗せられ、ニコニコしながらいる。


部屋に入れるか迷ったが、唯は半ば強引に部屋に入っていった。


「ちゃんとキレイにしているんだね」

「う、うん。一応………」

「あ、ねぇ。あのお花可愛いね。なまえちゃんが作ったの?」


唯はテーブルの真ん中に飾ってある、プリザーブドフラワーに指を指した。


「あれは、御狐神さんが引っ越した日にたくさん持ってきてくれて……」


花が好きだと予め調べていたのだろうか、彼はテーブルいっぱい飾られたプリザーブドフラワー。


絶対に枯れない、花を。


「そう、」


唯は短く返事をし、なまえの側に近寄った。


あの笑顔を向けているのに、いつもと違った。


「ねぇ、なまえちゃん。私がなんでわざわざ日本に戻ってきたか、わかる?」


彼女にしてはやけに低い声でそう問われた。


引いたはずの頭の痛みが突如甦る。


そして、





――ねぇ、なまえちゃん。







「私ね、なまえちゃんを殺しに来たの」





――死んで、お願いだから…







重なる声が頭の中で響く。





私は、この声を知っている。








続く
.

prev 

[back]


×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -