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「ホントそっくりー……やっぱ双子なんだね」


野ばらが目の前の少女をじっと見つめるが、少女はただニコニコと笑っていた。


「狗崎唯って言います、姉がいつもお世話になっております。これ、皆さんで食べてください!」


唯は自分の荷物から紙袋を取り出し、近くにいたカルタにそれを渡した。


紙袋には高級洋菓子店の名前が書かれていて、カルタの目がいつも以上に輝いているとなまえは思った。


「ど、どうして、ここに?」

「久々に日本に帰ったから、家に寄ったんだけど。そしたらいつの間にかなまえちゃんがここに住んでるって聞いたから来ちゃった」


唯は中学に上がる前に海外に行き、既に向こうの大学に飛び級で通っているらしい。


妹に会うことが全くとないなまえは、まさか彼女とこのような形で再会するとは思わず、まだ頭が混乱していた。


そんななまえを察した双熾はなまえの肩にそっと手を置き、それに気付き小さく微笑む。


ただそれだけなのに、何故かなまえの心は安心していくのだった。


「私、暫くここにいていいって実家に許可貰ったの!」

「え……」

「暫くなまえちゃんに会えなかったし、色々話したいこといっぱいあるからさ」


何気ない言葉だったが、妹と生まれてからこんなに話したことがないなまえはまだ戸惑いの色を隠せない。


「では、ここでお開きにしましょう、夜になりましたし唯様は客間で今晩はお泊まりいただきましょう」

「ありがとう、えっと…」

「御狐神双熾と申します、なまえさまのSSを勤めております。ここにいる間は何でも仰ってください」

「御狐神さんね、よろしくお願いします!」


人懐っこそうな笑顔を見せ、唯は荷物をまとめて立ち上がった。


「唯様、ご案内致します」

「じゃあ、また後でね!なまえちゃん、連勝!」

「う、うん…」

「おー」


相変わらず笑みを絶やさずにいる唯に、なまえはなんとか笑って手を振り返した。


彼女の背中が見えなくなると、なまえはイスに座った。


深く深く息を吐き、身体全体に妙な力が入っていたことに気付く。


妹が海外に行ったことは使用人から聞いて知っていたが、まさか帰って来てこちらに来るとは夢にも思わない。


最後に見たのは、確か小学生の時で。


1度しか顔を近くで見た記憶しかなかった。




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