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せっかく作ってもらった料理を冷めぬ内に食べたかったが、それは当分無理な話だろうと何度も自分に言い聞かせた。


そして当事者である、目の前の男に真剣に呆れ返ってしまった。


「ルールは簡単、マンションに隠したこのうさたん人形を見付けたペアが優勝!ほら、質問は?なまえちゃん」

「私になぜ振るんですか?」

「もー、つれないとこが可愛いんだから☆」


あはっと笑った目の前の男に、どうしょうもないくらい殺意が芽生えてしまう。


いちいち反応している姿を見て楽しんでいるように見えない。


「じゃあ、ペアの発表するよー!」

「くじとかじゃないんですか!?」

「ううん、僕の独断と偏見だよ。なまえちゃんはそーたんとペアで、僕は司会進行☆」

「勝手に………」


残夏は野ばらと連勝がペアで、カルタと渡狸がペアとそれぞれ発表した。


明らかに狙った組み合わせだろうと思ったが、カルタと渡狸を一緒にした意味が先ほどのやり取りから見受けられる。


「ちなみにうさたん人形の場所はそれぞれヒントを書いた紙をその辺りに隠しているから、適当に見つけといてー!」

「て、適当!?」

「はい、よーい……スタート!」


なまえの言葉を思い切りスルーし、残夏によるゲームが始まる。


一先ず参加する方向になり、なまえは双熾にどうするか意見を求めた。


「とりあえず、そのヒントが書かれた紙を探しましょう」

「はい、そーたん☆」


残夏は双熾に一枚の紙を渡し、紙を広げた双熾は小さく笑っていた。


「夏目さん、これは?」

「うさたん人形の場所、渡狸とカルタちゃんがペアになれば別にゲームはどうでもいいんだ」


二人の話について行けず、なまえは残夏に説明をするように求めた。


このゲームはカルタと渡狸に空いた時間を埋める為のもので、二人が一緒になれば話をしたり色々と出来るのだと言う。


「渡狸ってこうでもしなきゃ、ちゃんと話しないでしょ?」

「夏目さんって、優しいのかふざけているのか分からないですね」

「なまえちゃんに褒められるなんて、お兄さん嬉しいなぁ?」


ねー、などと明るく残夏はなまえの手を取り、縦に何回も振った。


彼とは先ほど出会ったばかりだったが、何故か彼の扱いを覚えてしまう。


こういう場合は無視するに限る、そう心に固く誓ったのだ。





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