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運転手が車を降りて、後ろの座席のドアを開けるとなまえと双熾は車から降りた。


「ここが、悟ヶ原思紋様の………」


立派な門を見上げ、先程車の中で夏目に電話したことを思い出した。


なまえと双熾は小さい頃から不自由な生活をしてきた為、外のことについてほとんど知らなかった。


この悟ヶ原思紋についてもなにも知識がなかったが、調べたところ先祖返りの者たちをまとめる人で妖館を作った人でもあったというのだ。


そんな人が一体なんの用があるのか、色々と考えてみても特にない。
車のなかで双熾と話をしていたが、向こうから声を掛けてきたのだから会ってみるだけ大丈夫だろうとのこと。


「なまえさま、一応僕の後ろにいてください。」

「大丈夫ですよ、なにかあったら一緒に戦いましょうね?」

「………ふふ、本当に頼もしい限りですね。」


不安要素はあった、それでも大丈夫だと思うのは二人一緒にいるからだ。


気を抜かないように少しだけ気を強めて足を進める。
たくさんの人に出迎えられ、ようやく奥の部屋へ通された。


恐らくこの奥にいるだろう。


先ほどよりも少しだけ警戒心を強くすると、
笑い声と共に襖がゆっくりと開いた。


「そんなに警戒しなくてもよいであろう。」


緊張感に満ちた心とは反対に、穏やかな声が届いた。
部屋には正座をして座っている老人が一人と、その側に少女が一人控えていただけだ。


「よく来たな、急な呼び出しにも関わらず……あと、そんなに警戒しなくても良いぞ。儂は其方らの味方じゃ。」

「あなたが、悟ヶ原思紋様……」

「如何にも、儂が悟ヶ原思紋。」


穏やかな声色に優しい眼差し。
その姿にようやく張り詰めた緊張を解くことが出来た。






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