「お帰りなさいませ、なまえ様。」


綺麗に並んだメイド達がその姿を見て一斉に頭を下げた。


その光景は未だ慣れることはない、
なんせ実家にこういった形で帰るのは二度目だったからだ。


いつもなら隣にいる青年が頭を下げてマンションに入る自分を出迎えるが、
ざっと数えて15人以上いる人間にこのように出迎えられるのは慣れないものだった。


「お帰りなさいませ、なまえさま。そしてようこそいらっしゃいました、御狐神双熾さん。」

「こちらこそ招いてくださり、本当にありがとうございます。」

「ぜひ旦那さまと奥様も御狐神さんにお会いしたいとのことでしたので、ここにいる間はなんでもお申し付けください。」


田所は双熾に深々とお辞儀をし、二人を家の中に案内をした。


田所の案内した部屋は客間として使っている部屋、
正直、自分の家の構造などはほとんと知らなかった。


自分の家のはずだが、改めて見ると全く違う景色にさえ見える。


「お部屋はお一人一つずつご用意しました、何かございましたら遠慮なくメイドや執事をお呼びください。」

「ありがとうございます。」

「は、はあ………」


失礼します、と言って田所は部屋を後にする。
その辺にあったイスに適当に腰掛けると一気に疲労感が広がった。


「申し訳ありません、僕まで来てしまって……」

「気にしないでください、それに双熾さんを招いたのは両親ですし。私が謝らないといけないです、」

「なまえさま、頭を下げないでください。でも、僕はこうして一緒にいられて幸せです。」

「双熾さん………」


ここへ何故彼も一緒に来ることになったのか、それは年末の妖館の大掃除をしている最中にそれは起きた。


妖館に一本の電話が入り、狗崎家から双熾に家へ招待するというもだ。






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