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好奇な眼差しと嫉妬や妬み、家の財力でなんでもやっている。


そんな噂や嫌味も小さい頃から慣れてしまった。


その度に強がって作った笑顔で返す、そして家で心が折れないように下唇を噛み締めて声を押し殺して泣く。


いっそのこと心に蓋をして殺してしまえば楽だ。


何も感じない、ただの人形のように。


だけどそれはいけない、何も感じない心になるのは簡単だけど、また元に戻すのは大変だから。


それだけはいけない、あの人は優しく諭した。


もしまた苦しくなったら、その思いを乗せてふわりと飛ばせばいい。


その思いも全て、あの空へ……



















初日はまだ授業がなく、早めに帰宅することが出来た。


カルタと共に歩いていマンションに戻ると、入口に連勝と野ばらが立っていたのだ。


「あ、お帰り、二人共。メニアック!」

「ただいまって、入らないんですか?」

「なんていうか、入りにくいってか……」


言葉を濁した彼らの視線の先には双熾がいて、彼の前には見ず知らずの女性も一緒にいる。


遠くから見て女性は何かを双熾に言っていて、双熾は小さく首を振ると彼女は泣きそうな顔になった。


話の内容からしてあまりよくないのかな、等と考えてしまった。


「あ……」


声が思わず漏れたのはなまえで、それに双熾は気付いてこちらに視線を向けた。


「なまえ、さま……」


なまえの姿を見た双熾は目を見開いた。
彼はその女性とキスをしていた姿を見られていたからだ。


それから女性はその場を立ち去り、
残されたみんなは入口にずっといる訳にもいかず、とりあえずラウンジに行くことにした。


「彼女は以前告白されてお断りした女性です。
諦めるからと言われてああしたまでです」

「それでもキスはねぇ……普通する?」

「いいんじゃね、迫られたら普通はするんじゃない?」

「あんた……死んで」


彼らのそんな会話が耳に入るが頭には入らない。


本当は彼が誰とキスしようが関係ない、彼はただのSSなのだから。


それ以上でも以下でもない、なのに何故こんなに胸が痛いのか。


先ほどの光景が離れられない、


どうして?


「なまえさま?」

「明日の代表挨拶を考えるので、部屋戻りますね」




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