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季節は冬を迎えている。


楽しい時間はあっという間だと聞くが、本当にそれをこの身で体験することが出来た。


いくつもの季節がこうしてこれからも過ぎていくのだろうか、
だとしたら何も変わらずにこのままでいたい。


そう願ってしまった。


「そろそろ本格的に寒くなりますね、はなのミルクももう少し温かいものにしないと……」


学校の帰り道、双熾が運転する車の窓から見える外の景色を見つめながらそう呟く。


「そうですね、なまえさまは本当にはなさんのお母さんみたいですね。」

「お母さん?よく分からないですけど、自分に子供が将来いたらこんな気持ちなのかな、って最近は考えてしまいます。」


子供と子猫は姿もなにもかも違うが、一緒に過ごす内に親心のような、
母親のような気持ちが芽生えてきたのは事実。


もし、自分に子供が将来出来たならこんな気持ちになるのだろうか。


「なまえさま………」


車はいつの間にかマンションに着いていて、鞄をまとめると双熾の手によってドアが開かれた。


車から降りて真っ先に向かったのはラウンジ。


扉を開くと奥の方からこちらの姿を見つけて走ってきたはな。
彼女にただいまと挨拶をして抱き抱えた。


「おかえり、寒かったでしょ。」

「ただいま帰りました、野ばらさん。」

「帰ってきて早々に申し訳ないけど、なまえちゃんにお客さんよ。」


野ばらの言葉に思わず聞き返すと、野ばらの陰になって見えなかったが誰かがそこにいたのだ。


椅子から立ち上がる音と共に、その人物はこちらに向かってきた。


そして、目の前で立ち止まると深々と一礼をしたのだ。


「お久し振りです、なまえ様。」

「た、田所?」


そこには懐かしい顔があり、一体なにが起きたのか理解出来ずに次の言葉が出てこない。


そんな彼女の姿を見て野ばらは複雑そうに笑った。







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