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「うーん、いいんじゃないのー?」


そう先に言ったのは連勝で、なまえは意外な言葉に彼の方に視線を移した。


「まさか保健所に行くことも出来ないし、ここは俺達のネットワークで探すしかないでしょ?」

「連勝………」

「せめて変化を自在に出来るまで、親を探しながら気長にやれば。」

「あんたは本当に適当ね……」


野ばらは小さく溜め息をついたが、次の瞬間には優しい笑みを浮かべていた。


「猫又の状態で帰すのも不便だからね、せめてこの子が妖力つけて自分で出来るようになるまで。それまでに私たちがご両親を探しましょう。」

「野ばらさん………」


どうやら皆が考えていることは同じで、全員でこの子の親を探しながら力を付けていこうということに決まった。


きっと、親もなにか事情があるはず。
離れ離れに二度とならないように、そう決意したのだった。


「その前に名前付けませんか?この子の名前がどこにも書いていませんし、せっかくなのでここで呼ぶ名前を付けたいなって。」

「なまえちゃん、お母さんみたいだね★」

「ふはははは!もちろん名前は肉便器!!」

「蜻蛉さん、少し黙ってください。」


蜻蛉を制すると彼は黙りこんだ。


本当の名前があるはずだが、手紙にもなにも書かれていない為、呼ぶのに不便だ。


そう考え、全員で名前を決めることにしたのだった。


「なまえさまがご面倒を見るのであれば、ご自身でお決めになった方がよろしいかと。」

「そうですね…………タマはどうですか?」


なまえの提案に一瞬で辺りが静まり返った。


「あれ?」

「なまえさま、可愛らしいお名前ですが一応、先祖返りですので……」

「ぶはっ!お前、それはねぇだろ!」


後ろから渡狸からの茶化しがあったが、それは双熾がにっこり笑いながら圧力をかけて黙らせたのだ。


「うーん………はな、はなはどうですか?」

「はなちゃん?うん、可愛いと思うわよ。」

「じゃあ、はなちゃんで決定☆よかったねー」


夏目は、はなと呼ばれることになった子猫の頭を撫でた。


この名前が満場一致となり、今日から妖館で一緒に暮らす仲間となったのだった。


「よろしくね、はなちゃん!」


はなの正面に向き直り、改めて挨拶をした。


すると、それに答えるかのように小さな鳴き声が聞こえた。









続く
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