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「汚れないようにビニールに入れて段ボールの中に置いてたみたいよ。おかげで雨にも濡れずに済んだけど……」


子猫と一緒に入っていた手紙、そこにはただ『この子をよろしくお願いします。』としか書かれていなかった。


生まれて数週間くらいでここに捨てられてしまった、夏目はぽつりとありのままの事実を言った。


「それにこの子、先祖返りだね?」

「え?」

「本当に微力だけど妖力を感じる。それならわざわざここに置いていったことに納得出来ると思わない?」


夏目の言葉に衝撃を受けた。
この腕の中にいる子猫が先祖返りだったとは。


妖力が本当に微力な為、集中しないと分からない。
それになんらかの拍子で猫又の姿になっているが、それを人間の姿に戻るのは本人の妖力がないので難しい。


親がこの場所がどういう所なのか知っていて、だから敢えてこの場所に置いていってのか納得出来た。


しかし、なぜ先祖返りが捨てられてしまったのか。
先祖返りの家は繁栄すると言われて、その家のものたちは大切に扱ってきたものも多い。


「うーん、まだ小さいから視えないね。それにどこの子なのかも探すのが難しいな……」


夏目の力をもっても視えない、それに手掛かりもないのにこの子の親をどうやって探すのか。


誰もが考えていたが、正しい答えが出てこなかった。


「まだ小さい上に妖力も少ないと、変化したりするのが難しそうね。」

「あの、ここで面倒を見ることは出来ないですか………」

「なまえさま、それは………」

「せめて、この子の家族が見つかるまで、まだこんなに小さな子猫なのに。」


腕の中にいる子猫を見つめ、その小さな輝きに心を痛めた。


「探したい、私はこの子のお父さんやお母さんを探したいです!だって一人ぼっちは寂しいですよ……」


きっとこの子にも両親がいて、もしかしたら兄弟もいるかもしれない。


どんな理由でここに置かれたのかは知らない。
でも、どんな理由があろうともこんな形で離れ離れはいけない。


そう思うと胸が張り裂けそうなほど痛かった。







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