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「ほい、ミルク温かいの貰ってきたぞ。」
「ありがとう、連勝。」
「この子はなまえさまからミルクをいただけるとは………」
「やだー、そーたん嫉妬?」
「ミルクをあたえるなまえちゃん、メニアック!」
「可愛らしく飲んでいる!貴様はMだな!!」
「ミルク………」
「カルタ!!お前が飲むものじゃない!」
妖館のラウンジにはいつもの面子が集まっていて、
一ヶ所で行われてるものに皆であれやこれやとやっていた。
「皆さん!静かにしてください!!この子が困っています!」
騒がしく落ち着きのない周りになまえは抗議したが、反応はいつも通りになってしまった。
そして再び騒がしくなり、ため息をつきながら目の前のものに視線を戻した。
「にゃー」
(あ、可愛い………)
腕の中で愛らしい表情でこちらを見つめてくる子猫、思わず顔が綻ぶ。
小さな小さな子猫はタオルに包まれ、小さく震えていた身体は温かいミルクによって少しはおさまった。
「しかし、こいつやっぱり……」
連勝がそっと何かを言い欠けたが、目の前の幼馴染みの姿に言葉を紡ぐのを止めた。
幼馴染みがこの子猫を連れてきたのは一時間前のこと。
午後から大雨が降り、双熾の車で学校から戻ってきた。
マンションに着くと、入口に段ボールが置かれてありその中に子猫がいた。
双熾に頼んでその子猫を妖館に連れて帰ってきたのだ。
ずぶ濡れになった子猫をラウンジに連れて帰り、その時にいた野ばらや夏目に頼んで温かいものやミルクを用意したりとバタバタしていた時に連勝やカルタ達も帰ってきて事情を聞いたのだった。
「それにしても無責任よね、こんな手紙まで入っているなんて……」
野ばらが呆れたように呟き、手には一枚の紙が握られていた。
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