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それから夏が来てあっという間に過ぎて、学校が始まった。


文化祭という一大イベントがあるようで、学校全体が賑わいを見せていた。


「あ、メール。」


なまえは自分の携帯が鳴っていることに気付き、ポケットから携帯を取り出した。


そこにはいつの間にか人のアドレスを入手したのか、蜻蛉からのメールだ。


しかも写真が添付されており、それを開くと泣きながら夏目に後ろから捕まえられた渡狸の写真。
よく見ると彼はメイドの格好をしている。


(渡狸くん…………)

「なまえさま?着替えは終わりましたか?」


カーテンの向こう側から双熾の声が聞こえ、ふと我に返った。


「こ、これは本気ですか………」

「はい、」


カーテン越しに会話を繰り広げたが、最後は双熾によってカーテンを開けなくてはならない状況になってしまった。


「やっぱり、こんな恥ずかしい格好、無理です……」


鏡に映った自分の姿にどうして良いが分からないが、とりあえず早く着替えたいのは事実。


それを双熾に訴えても彼は表情を崩す所か、
その表情が一瞬黒いものに見えてしまった。


「ここは、そういうお店ですよね?」

「そ、そうですけど!」


文化祭の催しだと思えばなんとかなる、そう自分に言い聞かせて双熾の前に出ることにした。


コスプレ喫茶に嬉しそうに入るなり、ぜひこれに着替えて欲しいと頼まれた時は断るつもりだったが、この笑みにはどうも勝てなかった。


「っ、」

「そ、双熾さん!?」


なまえの姿を見るなり、双熾は突然胸を押さえて崩れ落ちた。


驚いて側に寄ったが、とても息遣いが乱れている。


「なまえさまのメイド服………あぁ、なんと……」

「メイドさーん!メニアック!!ご奉仕お願いします!」


後ろから聞き覚えのある声が聞こえたが、目の前に倒れた彼をどうするかが最優先。


それよりも、この服を早く着替えたくて仕方ない。


双熾がこのまま連れて帰りたいなどと呟いていた為、身に危険を感じてしまった。









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