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(ど、どうしよう!)


心臓がドキドキしている、というより今にも飛び出してきそうな勢いだ。


逸る心臓を服の上から押さえ、軽く深呼吸を何度か繰り返した。


(いくらなんでも、無茶苦茶だったかな………)


双熾の部屋が一日使えないと知り、咄嗟に出てしまった言葉。
今更それを取り消すということは到底無理な訳で。


「なまえさま。」

「は、はい!」

「僕のことはお気になさらず、お風呂に入ってゆっくりなさってください。その間、僕は部屋の外にいますので。」

「わ、分かりました………」


言葉通り、双熾は部屋から出ていき、部屋にはなまえ一人だけとなった。


とりあえず双熾の言われた通りにお風呂に入ることにした。


いつの間にか湯船にはお湯が溜まっていて、少しだけ恥ずかしくなる。


「双熾さん、お客さんなのにこんなことさせちゃった……」


双熾に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
その分は後でちゃんと返そうと決意した。


















「あのー、すみません。お風呂上がりました。」


部屋の外にいる双熾に声を掛ける、彼は本当に外で待っていてのだ。


「すみません、外で待たせてしまって。あとお風呂沸かしてくれてありがとうございます。」

「いいえ、お礼なんて勿体ないです。当然のことをしたまでです。」


部屋の中に二人で入り、双熾はそのままキッチンへと向かおうとした。


双熾が何をしようとしたのか直ぐに察知し、なまえは双熾の腕を咄嗟に掴んだ。


「あの!双熾さんはお客さんです、お茶は私がやりますから、」


一瞬、驚いた表情になった。
まさか自分の行動が彼女に分かっていたとは。


「今日は………私にやらせてください。」

「あなたは、ずるい人ですね。」


そう言った双熾は複雑そうに笑い、なまえに向き直った。


「そのようなお顔でお願いをされては断れません。本来は僕の仕事ですが、お願いをしてもよろしいですか?」


双熾の言葉になまえは返事をし、早速お茶の準備を始めた。







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