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手紙を書き終えて指定された場所へ向かった。


手には二通の手紙を持っている。


双熾に連絡をすると、書いてくれると快く了承した。


そして、その手紙を一緒に持っていって欲しいとお願いされたのだ。


どうやら他の用事もあるらしく、時間がない中で書いてもらって申し訳ない気がした。




『未来でも、僕たちはこうした関係でいたいですね。そんな想いを込めて書きました。』



この手紙を渡された時にそう言われたことを思い出して顔が熱くなる。


いつになったら慣れるのだろうか、その言葉だけで直ぐ赤くなるのも少し恥ずかしい。


「未来か………」


過去の"狗崎なまえ"は一体どんな人なのだろう、

そして、未来の"狗崎なまえ"は何をしているのだろうか。


今まで気にしなかったことが急に知りたくなる。


(記憶は稀に受け継がれるけど、私はない……)


そんなことを考えている内に指定された場所に着いていて、
幼馴染み達が穴を掘っていたのだ。


「おーい、こっち。書いてきたか?」

「うん、双熾さんの分も預かってきたよ。」

「サンキュー、じゃあ、そこの箱に入れといて。」


連勝に指定された箱には何通もの手紙が入っている。


可愛いものもあればシンプルなものもある。


それぞれの個性がそこには表れていて、
これを開ける未来が楽しみになってきたのだ。


「あら、なまえちゃんは花柄なの?」

「野ばらさん!」

「なんて可愛らしいの、メニアック!」


親指をグッと野ばらは立て、箱の中に手紙を入れた。


「僕も入れよーっと☆」

「夏目さんも書いたんですか?」

「もちろーん!なになに、中身は秘密だよ?」

「大丈夫です、特に気にならないので。」


冷たいー!と横で夏目が涙を拭うフリをした。


人の手紙の中身は気にならないといえば嘘になるが、
やはり人の物なのでそこは自分から見たいと言ってはダメだった。


「偉い、偉い。なまえちゃんは本当に良い子だね!」

「また人の心を………」


相変わらずの夏目の力に最早慣れたというしかない。


溜め息を一つつくと、ふと疑問が浮かんできた。


「夏目さんの力って、未来とか見えるんですか?」


なまえの質問に珍しく夏目が表情を変えたが、一瞬でいつもの表情に戻った。







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