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『やっと、約束を果たせましたね。』
『はい、今でも夢を見ている気がします。』
満天の星空の下、私達はようやく自由になって。
あの時に約束したことが果たせた。
繋がれた手を少しだけ力を込めて握り、この想いを忘れないように噛み締めた。
今にも泣きそうな顔をしてあなたは微笑んだ。
『幸せ、ですね。』
そう言って笑った。
「タイムカプセル?」
「未来の自分に宛てた手紙とか、何でもいいからとりあえずやるんだってよ、」
幼馴染みが部屋を訪ねたと思えば、タイムカプセルというものの説明をしだした。
なんでも、ここのシェフの息子の為らしい。
詳しい事情は聞かないことにしたが、皆でやれば楽しいからということだそうだ。
「私達、先祖返りの未来か………」
「まぁ、深く考えないで適当に書いてみれば?」
先祖返りである私達は前の記憶など稀に受け継ぐ。
もちろん、前の私の記憶など今の私にはないわけで。
未来の私が今の私の記憶を受け継ぐかどうかは分からない。
だから、過去の私から手紙なんてどんな反応
をするのだろう。
少しだけ興味があった。
「じゃあ、書いたら持って行くね。」
「おー、まだ掘ってないからゆっくりでいいぞー
」
これからタイムカプセル用に穴を掘るらしく、連勝はそのまま行ってしまった。
「手紙、か…………」
未来の自分に手紙を書くなんて、とても珍しい発想。
全く想像出来ないこと、でも少しだけ未来の自分のことが気になっているのは事実。
(双熾さんは書くのかな…)
部屋の中で便箋を探しながらふと思った。
恋人となった彼も一緒に手紙を書いて、タイムカプセルに納めたい。
頭で最後まで考えるより、先に行動が出る。
なまえはテーブルに置いていた携帯を開いた。
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