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「菖蒲さん!」

「美味しそうな匂いね、」


そこに現れたのは菖蒲で、周りを見渡すとそっとなまえと双熾の側に腰を下ろした。


「良かったわ、本当にあなた達が一緒になれて。」

「私の方こそ、本当になんて言って良いのか………」

「いいのよ、だってあの子になまえちゃんは勿体無いもの!」


にっこり笑いながらそう言う菖蒲に、他に色々と言わなくちゃいけなかった。


でも、いざ目の前になると何を言って良いのか迷ってしまうのだ。


そんななまえの表情から色んな想いを読み取った菖蒲は、二人がいなくなった後のことを詳しく話してくれた。


狗崎家と青鬼院家は事業を提携することで両親はこの場を納めたらしい。
元々、青鬼院家と繋がり更に発展していこうとしていた為だ。


だから蜻蛉と自分の娘が結婚すれば良いだけで、
この話は両親にとって願っていないチャンスだった。


その代わり、狗崎家の先祖返りの娘は今後自由を与え、二度とあのようなことをしてはならないという約束をした。


そして、蜻蛉との婚約は無かったことになったのだった。


「そんな……………」


菖蒲にこのようなことをさせてしまった申し訳なさ、
それに勝手にこのようなことをしてしまい、


菖蒲や蜻蛉にどう気持ちを伝えればいいか。


「こら、そんな顔しないの、」

「でも………」

「昼間も言ったけど、私はこういうことが許せないの。先祖返りだからって自由を奪う、そんなの間違ってるの。」


昼間に見たあの強い瞳、本当に彼女はそういうやり方が許せなかったのだと分かった。






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