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「おはよう、家畜共!」
「………………おはようございます。蜻蛉さん」
「近寄らないで、変態」
「おっはよー☆蜻たん!」
「おはようございます、蜻蛉様」
ドアが開いた途端に発せられた言葉、各々に返す。
そんな姿に蜻蛉は高らかに笑いながらテーブルに着いた。
「昨日は遅くなってしまったな、花嫁殿。身体の調子はどうだ?」
「えー、なになに、そのエッチな言い方☆」
「ちょっと、あんたなまえちゃんにナニしたの?彼女の真っ白な肌に噛み付こうなんて許さないわよ」
蜻蛉の呆れた物言いに最早突っ込む気にもならないが、野ばらと夏目が怪しい妄想を始めてしまった。
「いい加減にしてください、第一、カルタちゃんや渡狸くんもいたんです」
「なーんだ、つまんな……なまえちゃんが無事で良かったよ!」
「夏目さん、つまんないって言い欠けましたよね?」
「でも、君になにかあったらそーたんが黙ってないだろうね☆」
夏目はなまえの後方に控えていた双熾をチラッと見たが、彼は無言で微笑むだけだ。
「そーたんが正常だから、昨日はなんもなかった。だよね?」
「基準は双熾さんなんですか……だから最初からなんもないって言ったじゃないですか」
「知ってるー☆」
朝から何故こんなやり取りに付き合わなきゃならないのか。
蜻蛉が来てからなんだか調子が狂う。
「そろそろ学校行ってきます」
時計を見るとそろそろ出る時間だった。
椅子に掛けてあったカバンを取ると、服の裾を軽く引っ張られた。
「待って」
「カルタちゃん?」
「なまえちゃん、家庭科の補習。エプロンとか持って来てって言われてた」
カルタの言葉に首を傾げた。
「え?」
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