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ドアを開けるといつものメンバーがいたが、野ばらが殺気立っていた。


それを傍観するように、遠くにいる他の者達は相変わらずだ。


「あ、おかえりー!二人とも」


ラウンジに入ってきた二人に夏目が気付いた。


「あの、なにかあったんですか?」


遠くにいる野ばらを見やり、夏目は面白そうに笑っていた。


幼馴染みはのんびりとお茶をすすって、カルタはご飯に集中して、渡狸に至っては床にたおれている。


あまりの光景に言葉を失い、とりあえず野ばらに近付いた。


「あの、野ばら………」

「近寄らないで、凍らすわよ」

「は?」

「悦いぞ、その反抗的な眼!まさにドS!!」

「近寄らないで!この……」


野ばらはどうやら奥にいる人物と話をしているようで、どこかで聞き覚えのある声になまえは顔を歪めた。


「野ばらちゃーん、なまえたん帰って来てるよ」

「なんですって!それを早く……あら」


夏目の声に反応した野ばらは振り返り、姿を確認した。


「やーん!気付かなかったわ、メニアック!」

「は、はぁ、ただいま、帰りました……」

「おお!ついに帰ってきたか!」


野ばらの声に続いた声に、野ばらは奥にいた人物を強く睨む。


彼の姿を見ると、予想が当たってしまったことに酷く後悔をした。


「待ちくたびれたぞ、花嫁殿!私を待たせるとは、まさにS!」

「男がなまえちゃんに近寄らないで、ていうか、花嫁とか気持ち悪いこと言うんじゃないわよ!」

「先ほどから説明しているだろう」


青年は高らかに笑い、なまえに向かって指をさした。


「私は青鬼院蜻蛉、2号室の住人でありカルタの主人、そして御狐神双熾の元主人で、狗崎なまえの婚約者だ!」

「肩書き長すぎるわ、ねぇ、本当なの?」

「本当、です………ただ両親が彼との結婚を望んでいるだけで………私はお断りです。というより、なんでここに住んでいるんですか?一言も聞いていません!」

「相変わらずの反応だな、その反抗心もなかなか悦いぞ!!」


蜻蛉の言葉にうんざりするなまえだった。


「ま、ともあれ久々の再会となまえちゃんの退院祝いなんだからさ、楽しくパーティーしようよ!」

「パーティー………なまえちゃん、おかえり」

「この変態のせいでちゃんと言えなかったわね、おかえり、なまえちゃん」

「おかえり、なまえ」


一斉にみんなからのおかえりに、一瞬戸惑ったが、ずっと言いたかったこの言葉。


素直に言えるなら………


「ただいま、みんな」

「私は待ってないぞ、おっと寂しがるのか!ははっ、お前はMも持っているのだな!!」

「っ、あの、蜻蛉さん。ぶち壊さないでください」

「ははは、反抗的な眼が堪らない!ぞくぞくするぞ」


目の前の男を本気で絞めてやりたい、そう思ったのはこれで何度目だろうか。







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