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車を走らせて数十分、いよいよマンションが見えてきた。
休日でみんなマンションにいるらしいが、迎えは双熾で十分だろうという連勝の判断で双熾だけが来たというのを車の中で知った。
少ししか離れていないのに、マンションがやけに懐かしく見える。
そして、早くみんなに会いたかった。
「なんだか懐かしい感じがしますね、ちょっとしか離れていなかったのに」
助手席のドアを開けてくれた双熾にそう言うと、双熾は嬉しそうに笑った。
「それはなまえさまがここを大切な居場所だと思っているからですよ」
「そう……だと、いいな」
「はい」
ここに来る時は、ここが大切な居場所になるなんて思いもしなかった。
知らない内にここが居場所になっていて、ここに帰ってくるだけで安心感に包まれる。
「よかったですね、大切な御友人もできて」
「双熾さんも大切な人ですよ、出会ってからずっと、変わりません」
にっこり笑って車を降りた。
双熾は暫くの間、瞬きを忘れてしまうほど。
ドアをゆっくり閉め、気付かれないように溜め息をそっとついた。
「どうして、そう無自覚なのでしょう………」
小さな想いは彼女の耳には届いていない、
心の距離がどんどん縮まる、その度にこの心臓は持つのだろうかと本気で考える。
「そろそろ行かないと、心配ですね」
それでも、彼女の側にいれることが幸せだと感じる。
「あれ、ラウンジから凄い声と音がしますね……」
早速、みんながいると思われるラウンジに行くと、ドア越しでも分かるほど、大きな物音と声が聞こえる。
声の主は野ばらで、もう1つはもの凄く聞き覚えがあった。
とても不愉快な、
「少し様子を見てくるので、なまえさまはここでお待ち下さい」
「あの、私も行きます。多分、危害はないと思うので」
「ですが………」
「大丈夫です」
なまえに根負けしたのか、双熾は一緒に中に入ることを承諾した。
彼女を背中で庇うように双熾が先に入り、なまえはそれに続いた。
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