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なまえの言葉を聞いた唯は暫く黙っていたが、次の瞬間には小さく笑っていた。


呆れたように笑っていた、でもその瞳は穏やかであった。


「本当に、お人好しっていうか、バカなのか……」

「ば、バカ?」

「そうよ、バカ以外のなんでもないわ、でも、あの人達が言ったことの意味分かった」





それはなまえが意識を失って暫くした頃、唯をまだ解放する訳にはいかず、妖館に監視のように皆に見張られていたときのこと。


別にもう用はなく、さっさと帰りたかったが、彼らはそれを許可しなかった。


なまえが目覚めるまではここに残るように言われ、不本意ながらもそこに留まることにしている。


「ほら、ご飯よ。ちゃーんと食べなさいね」

「いらない」

「あなたに倒れられたらなまえちゃんが悲しむんだから、ちゃんと食事は取りなさい」


野ばらの言葉に唯は疑問抱いた。


なぜ姉がそんな心配をするのか、あんなことをした自分を許すはずがない。


それを言うと、野ばらと隣にいた夏目は笑った。


側で食事をしていたカルタも首を傾げ、渡狸は眉を潜めて、連勝はそっと笑っていた。


なんで彼らがそんな顔をするか本気で分からず、唯はどういうことか訪ねる。


すると、彼らから返ってきた言葉が意外だった。


「真っ直ぐでとても優しい子なのよ、先祖返りとかじゃなくて、私たちはただ純粋に狗崎なまえという人間が好きなだけよ」


彼女だから、この世界にただ一人存在する彼女だから。


他の誰でもない、彼女だから好きなのだ。


そんな優しい彼女が妹を恨むとか有り得ない、彼女なら絶対に笑って温かく許して、これから仲良くしていこうというはず。


野ばらの言葉誰しも頷き、そっと唯を抱き締めたのだった。


「私たち、良い友達になれると思わない?」

「はぁ?」

「あなたも、なまえちゃんと同じくらい寂しかったのよね」


そんなことはないと否定したかった。


でも、野ばらが言っている言葉は否定出来ない。


昔からみんな先祖返りの姉しか見ない、自分を見る目はいつだって姉と比べて哀れむように見るだけ。


両親の姉に対する歪んだ愛情さえも羨ましいと思ってしまった。




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