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不思議だった。


彼女を、妹をもっと知りたい。


今はどんな生活をしてて、なにをやって、どんなものが好きとか。


当たり前のようなことを知らない。
この世で双子として生まれたのに、彼女を何も知らない。


生まれた時に離れてしまい、先祖返りである自分のせいで彼女は肩身の狭い思いをしてきた。


知りたい、本当のキモチを。


「あのね、私、唯のこともっと知りたい!どんなものが好きとか、なにをしているとか知りたいの!」


なまえがそう言うと案の定、唯は目を丸くして目の前の姉を見た。


だが、次の瞬間には激怒したのだ。


「バカじゃないの……なに考えているのよ、私はあんたを殺そうとしたのよ、正気じゃないわね」

「分かってる、だけど、私達はお互いに何も知らない、双子で生まれたのにおかしいわよ!唯のこと、もっと知りたいの!」

「っ、」


バカなことを言っていることは分かっている。
それでも、知らなかったままでまた別れるのは嫌だった。


記憶を無くしたとき、彼女や双熾はたくさん悩んで苦しんでいた。


自分だけ忘れて、彼女達はずっと胸に苦しい想いを抱えたままで今日まできた。


悔しくて仕方がない、悔やんでも悔やみきれない。


だから、今の自分に出来ることは小さなことでも彼女を知っていくこと。


「私は、もっと唯を知りたい。だから今日からお友だちになって。それに、妖館の皆とも仲良くなってくれると嬉しい………」


あの時、ああしていれば良かった。
そんなことを考えて後悔しているより、いま何をすべきかが大切だと気付いた。


前に進める勇気をくれたのは、大切な人達。


それを、どうしても大切な妹に伝えたかった。


今まであの鳥籠の中にいた時とは違う、


妖館にきて、皆に触れあってきたから今の自分がいる。


あの優しさがあったから、みんながいたから強くなれた。


唯との過去があって、双熾と出会えて、


仲間に出会えて変われた。


それは胸を張って言えること。






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