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「待ってて、いまお茶出してもらうね。」
「お、サンキュー。でも早めに帰らなきゃいけないけど。」
「そうなの?」
「早く帰らないとSSのやつがうるさいからさ。」
彼のSSはとてもキレイな人だと聞いたことがある、
どんな人なのか詳しく聞くと、ただ会ってみれば分かるとしか言われず、言われた通りに楽しみにしておこうと決意した。
今までは外に出れないので、人の話を聞いて想像するしかなかったが、今はそんなことをする必要がない。
本や人の話で得られる情報より、この目で見られることが楽しみだった。
「失礼します。」
ドアを開けてきたのはメイドで、慣れた手つきで紅茶を淹れてさっさと出ていってしまった。
別にそれは日常よくある光景なので大してなにもなにも思わない、だが、連勝は少し悲しそうな目をしたが、まだなまえにはその意味が分かっていなかった。
それでも彼女はいまこうして長年の枷が外れて外へ出られるようになったのだ。
連勝は話題を変えて話をすることにした。
「そういえばなまえのSSはどんな人?」
「そもそもSSはあまり欲しくないのに勝手につ付けちゃって………SSを付けて監視されてる気分で嫌。」
「そっか……」
やっと長年の夢であった外へ出れるのに、わざわざSSを付けられてはここへいるのとあまり変わらない、
それに、SSが男性だったらどうしていいか分からないという不安もある。
せめて目の前の幼なじみのように女性がいい、そう彼に伝えると微妙な反応をされた。
どうやらそれもそれで彼にとっては微妙らしい。
「まぁ、狗崎家のSSになるんだから変な奴は付けないだろ。」
「そうだけど、でも、いま愚痴を言っても仕方ないよね。もうSSの人も準備しているだろうし。」
連勝の言うように、狗崎に雇われたSSだから怪しいものはまずないだろう。
完全に不安が拭えたわけではないが、最初から不安ばかりで行っては相手に失礼だと思った、
ただ、この出会いで何かが変わるという不思議な気持ちはあった。
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