依存じゃなくって共存




 とある食事風景。利家とまつはいつも通り二人で食卓を囲んでいた。
 と、利家が腹を押さえた。「出る…か?」昨日まで遠征していた利家の体の調子をまつは知らなかった。
「駄目で御座いましょう。食事中に厠へ立つなど、行儀が良いとは言えませぬ」
 まつは常々、利家に言っている言葉をまたも口にした。しかし今日は利家の様子が違っていた。
「分かってはいるんだが……ここ何日だったか、糞が出んのだ。腹の調子が悪い」
「便秘に御座いますか…。催したのならば、参りましょう。」
 常日頃、快腸快便の利家が便通に悩むのは実に珍しいことである。出していない以上、大量に入れる場所はないのだ。彼にとっては死活問題だ。何より腹が痛む。まつはすぐに立ち上がる。しかし利家を呼び止めて厠とは逆の方向に呼ぶのだ。利家は意味分からず眉間に皺を寄せたが、まつが自分にとって悪い結果となることなどしないと信じている。呼ばれるままに着いて行く。
 そして出たのは裏庭であった。
「腹の調子が悪いなどと、家臣に知られるのもいけませぬ。こちらで出したものを埋めまする」
 まつは誰より慎重であった。軽くその場の土を掘り、そこに便を落とすように指示する。流石だと褒め称えながら褌を外してまつに手渡した。
まつは見えやすいように傍の木に手をついて少し前屈みになるようにとだけお願いをした。利家はまつの言われるがままの格好をしつつ、「…く……っ、…」糞をひり出そうと腹を押しながら力む。尻の穴は括約筋によってぱくりと口を開く。何度か開いたり閉じたりしていたが、結構な筋力を使うものだ。利家も力む度に止める呼吸をしようと少しの間酸素を求めて喘ぐ。後ろからまつが尻を両手で包み、尻穴の周りをやわやわと押すように揉む。まつの指先に感じるのは硬い感触である。水分の少ない便が出るのを拒んでいるのだろうと推察する。まさか尻の穴を触られると思っておらず、利家はどうすればよいか分からず困惑していた。その間は力むのはやめているだけで、まつの行為に身を任せているだけである。
「犬千代さま、もう一度踏ん張って出してみて下さりませ」
暫くの間穴の周りを揉んで、今すぐにでも近くで出よう出ようとしている糞を軟らかくしたつもりであった。利家は「分かった」とだけ短く返し、すぐにまた力んだ。再び穴が開いてぱくぱくと存在を示したが、幾らか穴の周りが盛り上がったように見えた。しかし出てくるものはない。「…う、……ふぅ」利家はまた休憩と一旦力を抜く。大きく息を吸ったり吐いたりする。額に触ると汗で少し濡れていた。
「…出んな。これではまつのうまい飯も思ったように食えん」
「………まつめが、出して差し上げまする。少々お待ちを、」
 言うや否やさっさとまつは用意をしてくるとだけ告げて屋敷に戻っていく。殆どすっ裸の状態である旦那を放っておかれても困るぞ、と思ったが大人しく待って置くことにした。まつの言葉に偽りはなく、すぐに戻ってきた。薄い手袋を着けながら。
「指で掻き出しましょう」
「…まつ。某、流石に怖いぞ。」医者でもないのだし。と利家は小さく付け足したがまつには聞き入れられなかった。
まつは利家の尻穴の周りに冷たいものを塗る。その予想外の感触にうひっ、などと情けない声を上げる。
「椿油に御座ります」
 椿油。まつがよく風呂上がりなどなどに顔につけているあれである。ぬるっとした感触で、冷たい。
「力んで下さいまし」
「ち、近くないか?」
「犬千代さまが心配なさることはありませぬ」
 まつが大丈夫と言うのだから大丈夫なのだろう。「…ぐ、…ふんっ……!」利家はその場で全身に力を込め、特に尻には力が行き届くように。ぎゅるっと下腹が厭な音を出したと同時に腹が痛い。先よりも大分滑りのよくなった穴の近くには間違いなく硬く頑固な便がいるのだろう。また、もこっと周りが盛り上がる。中心部の皺が伸びている。ぼつ、ぶつ、と空気が洩れる音が何度か耳に届く。何度か尻の穴が閉じたり開いたりを繰り返してから、急にぽろっと粒のような便を吐き出す。山羊の糞のようなそれ。落ちたのはそれが二粒、三粒、四粒…。
「幾らか出ましたけれど……お腹は?」
 利家は「まだ痛い」と首を横に振った。やはり強硬手段しかないだろうかと、まつは手袋の縒れを直し、
「呼吸が整いましたら、また思いきり力んで下さりませ」
 出るのかどうか心配だったがまつが言うのだから力むしかないだろう。と利家は呼吸を整えてから再び力んだ。全く今日は何度糞をひり出そうとしてキバらなきゃいけないんだ、いい加減下腹にも力が入らなくなっていた。何より腹が痛むというのに。そんなことを考えているところに、まつの指がむりむりと押し入ってきた。
「……ウ、ウ、…まつ。……む、無理だ、苦しい…」
「我慢なさりませ」
 硬い糞を外へ掻き出そうというのだ。どうせ利家が踏ん張って出すにしても、きっと穴を痛めてしまい切れてしまうだろう。ならば指で潰し切ってから出すようにすれば切れることはないのではないか。というのがまつの考えであった。本当なら指が二本入ればよかったのだが、穴はそんなにこ慣れたものではない。指を入れるなど初めてのことである。一本の指を動かしながら中にある糞を壊すようにぐにぐにとし、千切れたかと思えば勢いよく指ごと中身を外へ押し出す。ころっ。殆ど水分を含まずにひび割れが目立つ便が掘った穴の中に転がる。まつが押したそれはへんにひしげた形をしていて違和感があった。利家はそのままの格好で下腹を押さえたまま、まつに向けて声を発する。声のせいで腹の不快な音はどちらの耳にも届かなかったが。
「まつ! どけ! …あ、あ、あ、出る、一気に…!」
 ぼん、と破裂するような音を発してから、今まで堰き止められていた便意の全てが一気に濁流のように外へ流れ出だした。先程までの硬く出るに出られない便とは間逆な、流れ出る動きを止めることができないような、水分の多い便が尻の穴から腸内の汚れた空気と一緒に飛び出す。辺りには不快で下品な破裂音が響いていたが、周りにはまつしかいない。水を多く含んだ便の跳ね返りが幾らかまつの服にも飛び散った。そして利家の尻とその周辺を汚す。濁流の後にもう一度「ふんっ」と利家が力むと、卵のようにころっとした便が最後に落ちた。利家の溜息が排便の終わりを告げていた。
「まあ、下痢便秘だったのですね。それは辛かったでしょうに。」
 まつはちり紙で利家の尻を拭い、終えてからその周辺を優しく拭う。水分が多いので飛び散りやすい。会陰や睾丸、竿を軽く拭いていく。敏感な部分であるし、後で風呂に入って洗ってやった方が良いかも知れないと思っていたところ、利家の性器が少しだけ硬くなっていることに気付く。きっと出す悦びによるものなのだろう、とまつは利家に聞いても解決しない問題を脳内で処理した。
 利家は呼吸を整え尻を綺麗にしてもらってから褌を締め直し、腹を撫でた。腹の痛みはすっかり治まっていて、早く飯の続きが食べたくて仕方ない。
「これからもまたうまく、まつの飯が食えるな!」
「まずは手を洗ってからですよ。食事が終わったら、まつと風呂に行きますからね」
 利家は風呂、と聞いて少しだけへこんだが「分かった」と返事を返したのだった。


* * * *


今回は、珍しくも利家が下痢便秘をするという話。
まぁアルイミ非現実な日常。ですね(笑)どんだけ腹強いんだ…

掻きだしっていうのがひとつのキーワードですね。
まるで、堕胎みたいなwordですもんね。でも不要物だから別に、ってエリカ様ふうに言ってしまうけれど(笑)

プレイじゃなく日常でSMって相当のモンだと思います。
実は隠れエロス夫妻ですね、前田夫妻。

ちなみに、次回は一応エロもないと誰も…って感じなので(ここまで書いておいてソレもどうかと思うが)書いたおまけになります。エロくはないけど、ケツ掘りネタ予定


(100514)