それがなんだというの?





「いただきまっす!」待ちに待った瞬間に、利家は合掌しながらほんとうにほんとうに、最高の笑顔をもって茶碗の飯、おかずたちを平らげていく。その間数分。一日何度も、数え切れない程沢山の「うまい」をまつに言う。
 がつがつがつがつ。飯のおかわりは三杯目。一回に二合は入るその腹はもう大分に満たされている。いつの間にか利家の腹の虫はおとなしくなっていた。
「ご馳走様うまかったぁ!」
「お粗末さま。犬千代さま」
 中身の空っぽになった碗らを再び盆に乗せ、食事の終えたまつは今度は片づけに取り掛からねばならなかった。その前に食後の一服である茶を注ぎ、利家の前にそっと置く。湯気から実に香ばしい茶の香りがする。その香りに利家の表情はふにゃりと緩む。まつと一緒にいる時は表情も緩みっぱなしだが。更にそれは加速する。茶を飲めば洗い物をするまつを呼び「うまい!」とまた告げへらへらしている有様。
 だが前田領の主である彼は、遊んでばかりもいられない。見回りしてきた際の戦利品とでもいうべきか、書簡やらといったものに目を通さねばならなかった。一通りそれらを広げ、簡の類には無言のまま目を走らせる。そうしていると数十分という時間はあっという間に過ぎる。
「犬千代さま、今日は如何で?」
「うむ。加賀で今川の影武者が出たともっぱらの噂。…と、武田と上杉が川中島で決闘しているところだそうだ」
「今川様…。気を付けて様子を見なければなりませぬ」
「うむ」と返事をしたところで利家が腹を押さえて立ち上がる。「糞だ」
「はい」と返事を返してまつも立ち上がる。利家を先導するように歩き、厠へと向かう。
 厠の扉を開け放ったまま利家は便座を跨いで立つ。褌は糞をするのに邪魔だ。するりと取り後ろに立つまつに手渡す。あとはそのまま便座の上に屈む。程なくしてブッ、と勢いよく利家が放屁の音を響かせた。僅かに尻穴が震えた。「臭っ」と利家が文句を言う。自分で出したものに言っても仕方ないが、思わず出てしまうのだろう。言いながらもまた小さく破裂するような軽い音が辺りに響いた。そうしてから穴が少しずつ開いていく。利家の下腹が少しぐるぐると呻る。穴はぽっかりと○を作り、周りの皺がぴんと張って綺麗に見える。少しだけ穴の周りがもこもこしたかと思うと、中心の穴の中から腸内の不要物が顔を出す。「…ンッ…!…」利家が早く出そうと下腹に力を入れてキバる。それは水分も丁度よくひび割れもしていない豪快なものだ。にょろんと結構な長さのものが尻穴から尻尾の如く垂れ下がる。かと思うとぶつっとそれは途切れて便器の闇に吸いこまれた。辺りに悪臭だけを残して。まだ穴には切り口部分を曝け出してそこで不器用に揺れている。利家は小休止し「ハァ」と一息吐いていた。当人もまだ出切っていないことを理解しているので、便座に跨った情けない格好のままである。数秒の休止ののち、再び利家が下腹に力を込める。常よりもぐ、と盛り上がるだろう腹筋は、屈んだ状態では目にすることができない。腸から再び出つつあるカスの部分を内部から押し出す。穴は力を入れる度に皺を刻んだり、幾らか弛んだりしている。ぼっ、とお世辞にも品のあるとは言えない音を発しながら、腹から出たがっていた栄養にならないカスたちが尻穴から離れていった。それより少し早く今度は水分のカスが陰茎の先から流れ出る。十数秒間の間、出始めた尿は酸化と同時に現れる異臭を放ってもいた。一気に出されるそれに反射し利家はぶるっと身震いし、ゆっくりと腰を上げる。気が付くとすぐ後ろにまつがいて、ちり紙を手にしている。
「少し、軟らかかったようで御座います。お腹の調子は?」
 まつはちり紙を軽く揉んで肌に馴染ませてから汚れた尻に宛てる。利家は「特に変わりない」と思い当たる節もなく答える。汚れを拭いながら数枚ちり紙を使い、穴に浅く指を入れてできるだけ汚れを取り除く。元よりこれはまつが利家に提案したものだ。排便は常の健康を観るものであるとし、健康管理に当たる妻として便を共にすることにしたのであった。まつは拭き終えて移動させると褌を巻きながら微笑みかけた。
「ならば良好に御座りますれば。本日も良い便で御座ります。」


* * * *


あっし以外が喜ぶかどうか不明な文章である。
でも書いてる側はたのしかったぜ!

ちなみに、タイトルの意味は、実はあります。
『あなたがどんなに汚くて臭い糞をひり出そうとも、――』
という感じです(笑)――の使い方はもちろん、辞書と変わりありません。

エロスがないのに下半身丸出しっていうのも、あんまり同人でも見ないんじゃないですかね? まぁ同人小説とか読み漁ってるわけではないので分からんけども
まぁ本当の愛情というのは、屁や糞で曲がらないものだと思いますよ。鼻は曲がっても。


ちなみに、どうでも、話もないけれど続きというか、シリーズはあります。
同じようなウンコネタですので好きなだけ見て下さい。私は大好きです!



以降→依存じゃなくって共存 へ続く

(100514)