誰かが、泣いた。




情けない思いばかり。
人間は話す動物だけに、ひどくそれに、むしろ、それだけに頼って、それしか信じなくなったり、
でも、逆にそれで嘘をついたり、その嘘を信じたり…
使うべき言葉に、ひたすら使われてばかりいる。

言葉は何より他を傷つける武器で、
けれど今やそれがなくてはならないような、人間になくてはならないもの。
騙すことも、殺すこともできる最強で、そして、最弱な道具。


道具ならば、使わなければきっと意味なんてないんだろう。どう使うか、それは人によるものだから、何とは言えないけれど。
でも、できることならば自分はもちろん、付属でいいから他人の役にたてばよい、なんて。ていのいい話だろうか。善人ぶっているつもりはないのだが。



しかし、そこにある言葉たちはひどく愚かで、我らを含む他人を傷つけてばかりいる。
発するためにその人は、自分ばかりを優しく可愛く思う。発するたびに、我らはその人を遠く、虚しく感じる。
思いやりを語る口は、ただ己を守る刃でしかない。
「庇う」「守る」。
言葉たちは、ただ意味があるかのようにひけらかされているだけだ。本来、人間が決めた意味合いなどどうでもよく。言葉だけが美徳としてそこに存在している。ただの無意味。

悲しく、虚しく思うのならば、自分がそう、うまく使えば良いのだ。
そんな思いなどくさるほど感じていた。だが、貶める言葉ばかり覚えようなどと、思えないのだ。きっと、これが下らない弱さなのだろう。そして、許してしまう強さ、なのかもしれない。



だが、
思ってしまう。感じてしまう。
騙さなくとも、逃げなくとも、
他人を信じる力は少しずつ失われている。

言葉にはできなかった。たくさんの思いを抱え、信じることを少しずつ忘れていく。そうできない、悲しさや虚しさだけがそこには残った。
誰かが、思い出させてくれるのだろうか。壊れたものを修復するのには、かなりの時間を要すということだけが頭の中にある。
でも……、その時間を共有できるだけの「アナタ」が現れるのだろうか。



必要ない嘘が、過去に別れを告げるのかもしれない。嘘を信じた自分にも、別れを告げるのと同時に。

できないことを、あたかもできるかのように振舞う様が、何よりの罪であること。
最後まで分からず過ごす者らがどれだけ多いことか。治せない傷や痛みを抱えてなお、初めて…知る。




恨むより先に、落胆がそこにはあった。



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100409
(後書write0508)

後書とか書いてなかったので、何を書きたかったか、当時の気持ちが分からないのですが(笑)

確か、死人であるアーロンの気持ちを綴った文章だった。 ハズ

テーマ曲は浜崎あゆみのNo way to say でした。
歌詞がいいんすよ! アーロンぽいというか、いやぼくはアーロン好きではないんですが。言っちゃっていいのか?(笑)でもジェクトっぽい歌詞もあるし。



伝えたい思いは溢れるのに
ねえ うまく言葉にならない
あなたに出会えていなければこんな
もどかしい痛みさえも 知らなかったね


恋愛とか抜きで、当てはまるような。 2番はもっとだよ


確かな思いは感じるのに
ねえ いつも言葉にできない
誰もがこうして言葉にならない
思いを抱えながら 今日も生きている



もちろん、ブラスカもそうなんだけど、あの人キャラがいまいち掴めてないのだよね。

一応、続きというか、同じテーマ曲をもったアーロンの話を書いたのは
最後だからこそ、最期を考える。 という文になります。


お題拝借:【配布元:Abandon】
【テーマ】最後の一人になった君へ


2010/04/09 10:17:45